11話 起承転結の転だけが目まぐるしく踊る。
11話 起承転結の転だけが目まぐるしく踊る。
「ちなみに、お嬢ちゃん、今日のパンツは何色だい? 純白以外だったら許さないぜ。もし、ふしだらな赤とかだったら、スカートごと食いちぎってやるから、そのつもりで」
思いつく限りの変質者ムーブをぶちかましていくセン。
――と、そこで、『ブブ……』と、何かが歪むような音が響いて、センたちの視線の先にある空間が軋んだ。
その軋みは、徐々に具現化し、空間に切れ目として正式に顕現すると、
その奥から、
「キシャァ……」
長い槍を持った『両生類系のバケモノ』が登場した。
肌は灰色で、顔からはピンクの触手が伸びている。
粘液まみれのドロドロで、生まれた直後のように、
プルプルと震えている。
それを見て、レイナは、
「うわっ……ぇ……」
と、普通に引いて、星桜の影に隠れようとする。
そんなレイナを尻目に、
センは、バケモノに目を向けて、
(……ムンビねぇ……いまさら、こんなもんを出してきて、何がしたいんだ? 今の俺にとっては、いまさらのムンビなんざ、鼻息で吹き飛ばせるハナクソだぜ)
ぽりぽりと頬をかきながら、心の中で、そうつぶやくセン。
すると、そこで、
ブーン……
と、奇妙な音が響き、
地面から、ファァァ……と、奇妙な色の粒子が沸き上がった。
と、思った直後、
「ん?」
レイナとムンビの身体が、シュンと消えてしまう。
急な事態に驚いたセンは、
「ちょ、待てよっ」
と、別にモノマネしているわけではなく、普通に焦りつつ、
眉間にシワをよせ、すぐさま、
追跡転移系の魔法を使い、
『どこかに飛ばされたレイナ』を追おうとしたが、
「っ?!」
バチッと、強固な阻害魔法に阻まれてしまった。
「くそっ! はぁ?! 異常に強固な魔法迷路! 嘘だろ! 今の俺の腕力で砕けねぇとか、どんだけのアウターゴッドの仕業だよ、くそ! ……や、やばいっ、難易度が高すぎる! アホの俺じゃあ、追跡するのに数時間はかかる!」
困惑しつつも、センは、必死になって、どこかに隔離されたレイナを追おうとする。
そこで、星桜が、冷めた声で、
「そんなに焦らんでも、別にええっすよ。あのアホ……レイナが死んだところで、なんも変わらんから」
「……これはもう、冗談言っている場合じゃねぇだろ、星桜ぁ! ……おそらくだけど、ショデソウは、亜空間に、さっきのガキとムンビを閉じ込めた。理由は知らんけど、たぶん、俺への嫌がらせとか、そんなところだろう。何かしら『崇高な目的』があるとかならともかく、俺への嫌がらせだけが目的だった場合、さっきのガキはムンビに殺される」
「別にええやないっすか。あんなメスガキの一人や二人、死んだところで、世界は何も変わらんっすよ。むしろ、アホが減って過ごしやすくなるまである」
「だからぁあ! 冗談言ってる場合じゃねぇっつってんだ! お前、ちょっと、頭脳を貸せ! アホの俺じゃあ、どのルートが最短なのか分からねぇ!」
と、ガチギレしているセンの顔を見て、
星桜は、『はぁ……』と深いため息をつきつつ、
「仕方ないっすねぇ。じゃあ、あとで、ボクの命令を聞いてもらうっすよ」
「なんでも聞いてやるから、急げ!」
「ん? 今、なんでもするって言ったよね?」
「小ボケはもういい! はやく――」
と、焦っていると、
そこで、
バチバチバチッ!!
と、なかなか強烈な時空震が起こった。
反射的に、センが、『強い反応がある方』に視線を向けると、
なかなかイカついオーラを放っている時空の裂け目が出来ていた。
その時空の裂け目の向こうから、
ヌっと、現れたのは、
――ムンビの首を掴んでいる、『龍の鎧に身を包んだレイナ』だった。




