9話 この『ワガママが暴走している自分中心タイプ』は、自分だけが絶対だから、男に奇妙な好意を抱いたりしない。俺は詳しいんだ。
9話 この『ワガママが暴走している自分中心タイプ』は、自分だけが絶対だから、男に奇妙な好意を抱いたりしない。俺は詳しいんだ。
めちゃくちゃ端的に、センの危惧を言語化すると、
『このままだと、周りの女性陣が、吊り橋効果&ハロ―効果で、俺に対して、勘違い好意を抱きかねない。……そっち系の誤解・齟齬は断じてお断り。本来の姿ではなく、謎の偶像に好意を抱かれ、それをモテていると勘違いして舞い上がるというのは、この世で最も愚かでみっともない失態』
――と言った感じ。
『アウターゴッドを殺せる男』……確かにすごいと自分でも思う。
だが、そこに好意を持たれても……というのが、センの奇妙なプライド。
『怪物を倒せる力がモテているだけであって、俺がモテているわけではない』――という、頑固な自己防衛本能。
ようするに、自意識の怪物。
シンプルに、人間性の問題。
極めて面倒くさくて、頭おかしいとしか言いようがない、
パーフェクトフルパレードなアイデンティティ。
……なんだかんだ言ったが、
ようするに、
『本当はモテているわけではないのに、周りの女性陣が色めき立っている風な現状に危機感を抱いたセン』は、この『レイナ』を利用して、自分の株を下げる……いや、正常な状態に戻そうと考えた。
(こいつのような、『ワガママが暴走している自分中心タイプ』は、『自分だけが絶対』だから、男に対して『勘違いの好意』を抱いたりしない。俺は詳しいんだ)
本当は何も詳しくないが、勝手に女性を分かった気になる……
クラスカーストというアウェイで生きてきた童貞らしいマイウェイ。
センは覚悟を決めると、
「いやぁ、君、かわうぃねぇ! 俺は若い女に目がなくてねぇ! 若ければ若いほどいい! やっぱり中学生は最高だぜ! こんなにカワイイ女子の前だと、おじさん、はりきっちゃうよ! さあ、遠慮なく俺を頼ってくれ。『ワンチャン狙い』の俺に、身をゆだねたまえ! さあ、何が聴きたいのかな? 彼女の有無かな? それは、き・み・さ」
と、とりあえず、いったん、『目の前にいたらぶん殴るであろうチャラ男』としてのふるまいを徹底していく。
センエースの言動に、だんだん慣れてきた星桜たちは、
センの『奇妙なプライド』を完全に理解することはできずとも、
『また奇妙な思想のもと、奇妙なことをしている』ということだけは分かったようで、その奇妙さに対して、普通に呆れていく。
初対面のレイナは、センエースの異常性を、とうぜん理解できていないので、
「……ぇ……やば……」
と、普通にドン引いていく。
これに関しては、レイナに非はない。
普通に、センエースが悪すぎる。
「おいおい、そんな目で見つめるなよ、興奮しちゃうじゃないか」
と、奇術師なファントムを決め込んでから、
センは、
「とりあえず、親切で優しくてダンディズムであふれる俺が、現状を説明してあげるから、『女が男に対してしか出来ないお礼の仕方』を考えながら、耳かっぽじって聞いてくれ」
あまりにもキモすぎる発言の連続に、
レイナは、普通に、一歩後退り。
カスを見る目で、センを徹底的に見下していく。




