7話 田中家の人間は、全員変人なので、親戚同士でも、だいたい、みんな、お互いに対して、同族嫌悪以上の奇妙な嫌悪感を抱いている。
7話 田中家の人間は、全員変人なので、親戚同士でも、だいたい、みんな、お互いに対して、同族嫌悪以上の奇妙な嫌悪感を抱いている。
「うっせぇ、消えろ、クソ売女。ボクの男に、その卑猥なツラで近づくな、殺すぞ」
「えぐい、えぐい。呪いをノシつけて返したくなるから、お前、もうしゃべるな。……お前、これまでの人生で、世界に対する献身がハンパない、聖女みたいな生き方してきたくせに、なんで、ウルアに対してだけは、そんなに口が悪いんだ」
と、辟易していると、
そこで、空中に、エアウィンドウが出現する。
そこに映し出された、ゲームマスター『ショデソウ』が、
「イベントの発生を宣告する」
そう言ったのを聞いて、センは、心の中で、
(……いいぞ、ショデソウ。今回ばかりは、ナイスタイミングだ。おかげで、この奇妙な空気を断裂できる)
などと思っている間に、
イベントは着々と進行していく。
「宇宙人との戦闘前に、ランダムで、『イベント』が発生する可能性がある。今回のランダムイベントの内容は、新たなメンバーの追加。こちらがテキトーに選択した人間が、君たちの仲間となる」
いつもの説明の後、空にビビっと亀裂が入った。
そして、その亀裂から、フワっと、人が落ちて来る。
「親方ぁああ! 空から女の子がぁあああ!」
と、空気を換える意味合いも込めて、いつも以上のテンションで叫ぶセンの手の中で、
蝉原デスガンが、
「君も大変だねぇ」
などと、しみじみつぶやく。
落ちてきたのは、ウルアや星桜に匹敵する絶世級の美少女だった。
年齢は13歳の中学生。
――彼女の名は……田中・イス・玲南。
まだ幼いものの、知性と美貌に関しては、田中家全体の中でも最上位。
総合力や将来性は最高格で、
『田中家歴代女性の中で最高傑作』とも言われている期待の新星。
急に、こんな場所に連れてこられた中学生レイナは、
訝し気な顔で、周囲をきょろきょろと見渡し、
「え、なにこの状況……うざ……眠いんやけど……夢?」
ダルそうにそうつぶやいたところで、
その視線が、背後にいる星桜を捉えた。
星桜の顔を見た瞬間、
レイナは、『ウエェ』という顔をして、
「うわ、セラ姉おるやん……だる……」
と、まっすぐな本音を口にする。
田中家の人間は、全員変人なので、親戚同士でも、だいたい、みんな、お互いに対して、同族嫌悪以上の奇妙な嫌悪感を抱いているものだが……変人の中の変人である『星桜』に対しては、特にその傾向が顕著。
とはいえ、一応、知り合いなので、
レイナは、少しだけ、星桜との距離をつめて、
「ど、どうも、セラ姉……えっと……これ、なに? セラ姉は、状況、わかっとるん? 分かっとるんやったら、教えてほしいんやけど……」
と、尋ねてみるが、
星桜は、あえてのアクビを一つ挟んでから、
「なんで、このボクが、あんたみたいなアホの子の世話を焼かんといかんのっすか? 世間は、あんたのお母さんやないんすよ。中学生にもなって、まだ、『求めれば、周りが右往左往してくれる』と勘違いしとる。救えないっすね」




