5話 ソウルゲートで200億年も積むとかいう、イカれたことをしているから、世界に負荷がかかって、世界線管理システムにエラーが起きても不思議じゃない。
5話 ソウルゲートで200億年も積むとかいう、イカれたことをしているから、世界に負荷がかかって、世界線管理システムにエラーが起きても不思議じゃない。
「……とりあえず、出来ることは全部やってみるか」
200億年を積んだことと、ヨグソードを入手したことで、できる事の幅は大きく膨らんだ。……センは、今の自分にできる全部を駆使して、『世界線が移動した原因』を調べようとして……そして、『なんの成果も得られませんでしたぁああ!!』を経験して、
――普通に、自分の探偵力の低さに落ち込んで、
「蝉原……ボスケテ」
と、蝉原デスガンに救いを求めていく。
「何を調べたらいいのかが、そもそも分からない……」
できることは増えているが、だからって、答えを見つけ出せるとは限らない。
「そりゃそうだろうねぇ……正直、君の身に、何が起きているか、根本的に、まったく分からないから」
「お前の推測視点では、やっぱり、世界線のバグという結論が濃厚?」
「それ以外が、あまり思いつかないからねぇ。……君は、ソウルゲートで200億年も積むとかいう、イカれたことをしているから、世界に負荷がかかって、世界線管理システムにエラーが起きても……そこまで不思議だとは思わない……というのが俺の結論」
「ソウルゲートで思い出したが……てめぇ、ソウルゲートの中で、ヨグと一緒に、散々、俺を追い回してくれたな。好き放題勝手に浮遊して、バンバン魔法を使ってきて……言っておくが、だいぶ恨んでいるからな。『親の仇』を『レベル99』とした場合の、レベル98ぐらい、俺は、お前のことを恨んでいるということを理解しておけ。いつか、絶対に復讐するからな。覚悟しておけ」
「心外だなぁ。俺は、君が強くなるのを手伝ってあげただけなのに」
「ソウルゲートの中で、ずっと思っていたんだが……お前、なんか、めちゃくちゃ強くない? なんで、ウムルDごときに殺された? ソウルゲートの中での、お前の強さを鑑みると、お前がウムルDに負けるとは到底思えないんだけど」
「あれは、ヨグの力を借りただけだよ。あくまでも、ヨグの武器として、君を殺そうと……君の修行の手助けをしたんだよ」
「……」
「何かな?」
「たとえば……この先、強い敵が出てきて、お前に助けを求めた時……お前は、『ソウルゲートの中で、俺を殺そうとした力』を敵に対して使ってくれるのか?」
「ヨグが手を貸してくれればできると思うよ。俺単体では無理だけどね」
そこで、センは、頭の中で、ヨグに呼び掛けて、
(蝉原さんは、こう言っているんだが……その辺、ヨグさん的には、どんな感じ? 俺の助けに応えてくれる?)
(蝉原は、私の力など使ってはいない)
(えぇ……マジ?)
ダルそうに溜息をつきつつ、
センは、蝉原に、
「あの、セミさん……ヨグさんは……お前に力を与えてはいない、みたいなことを言っているんだけど……」
「ヨグは嘘つきだからねぇ。なかなか本当のことは言わないと思うよ。まあ、俺が嘘をついていると思ってくれてもいいけど、今回に関しては、ヨグの方が嘘をついているね」
「嘘つき村の住人たちに囲まれて、心が折れそう……」




