3話 恐怖のまどろみは隠せない。
3話 恐怖のまどろみは隠せない。
「――今、彼女に出てこられると、本当に邪魔なだけだから。……あくまでも、邪魔してほしくないだけで、ミライルの事を殺す気とかはないよ。本当に、本当に、単純に邪魔だから、一時的に大量の負荷をかけてフリーズさせているだけ。……田中関連は俺たちのせいだけれど、君に関する件は、本当にただの不具合。君に問題が生じたせいで、無数のバグが出てしまった」
蝉原は、丁寧に、丁寧に、アザトスへ説明をしていく。
「龍脈の件だけじゃなく……『コス程度がセンくんの未来を見通す』なんてのも、普通に考えてありえないことなんだよね。詳細はよくわかっていないけど……アレに関しては……完全に、君が破損してしまったことが原因だよね?」
「蝉原勇吾、君は、私について、どこまで理解している?」
「ほとんど何も。バグを修正する際に、一応、少しだけ調べたけど……君に関することは複雑すぎるし、『今回のバグを修正するには、最低限の大枠さえ把握しておけば、それで問題なかった』から、『細かすぎて伝わらないバグの詳細』に関しては、気にしないようにしているよ。だから、無駄な敵対心は抱かないでほしいかな。正直、君、怖いんだよね。『間違った対応をしてしまうと、この世の全てが吹っ飛んでしまいそう』で。君は、『強いとか弱いとかじゃなく、そういう概念である』……という可能性が高くて、ほんと、恐怖の対象でしかない」
すでに、蝉原は、ショデヒからトトを取り上げて、輝木に返却しているので、バグに関してはパッチが当たった状態になっている。
大元のバグ原因を修正すれば解決する問題なので、
細かい末端のバグソースなど知った事ではない……というスタンス。
蝉原視点では『なんかおかしいので、解析ツールをかけたら、トトが原因だと分かったので、元に戻した』というだけ。
細かいことは知らないし、興味もない。
「君に対する『失礼』は、決して攻撃ではなく、『バカなショデヒが引き起こした、情けない不具合』でしかない。本当に、敵対しているわけではないし、すでに、不具合は修正させてもらったから、どうか、今後も、これまで通り、善意の第三者のポジションを貫いてほしいな。もっと直接的なことをいうと……俺とセンくんのゲームを邪魔しないでほしい。この通り」
そう言いながら、蝉原は、その場で綺麗に土下座してみせた。
「安い土下座だ」
「そうかな? 結構レアだよ」
「………………大方の事情は理解した。おそらく、嘘は言っていないのだろう」
「自分でいうのもなんだけど、よく、嘘つきの俺を信用できるね」
「恐怖のまどろみは隠せない。君は本当に……私を恐れている。私を敵に回したくないという感情は本物。……という風に思い込ませる策略だったら……その時は本当に敵対するだけ。私を敵に回すような愚者は、私の敵たりえない」
「かっこいいセリフだね。『俺より強い程度のザコに、俺は負けない』という格言には負けるけど」
というわけで、今月も、達成!
いやぁ、マジで、えぐいほど大変ですが、
今のところ、たくさん応援も頂けているので、
どうにか、なんとか、やれております!
ここまで読んでくださっている読者様へ、
センエースを愛してくれて、本当にありがとう!!




