2話 薬宮シリーズの携帯ドラゴンは非常に優秀。トト詠の携帯ドラゴン『トト』は数少ない、本物の『ルナ・センエース化』ができる貴重な逸品。
2話 薬宮シリーズの携帯ドラゴンは非常に優秀。トト詠の携帯ドラゴン『トト』は数少ない、本物の『ルナ・センエース化』ができる貴重な逸品。
「……簡潔に話せ。このインターフェイスは、コスモゾーンの深部にアクセスできない。表層のログは確認しているが、舞台裏の事情は何も理解できていない」
――アザトスから簡潔な説明を求められた蝉原は、頭を悩ませつつ、
「えっと……まず、一番の原因は、ショデヒが、バーチャルディメンションを使った際に、輝木の携帯ドラゴンを奪い取ったことなんだ」
「……」
「薬宮シリーズの携帯ドラゴンは非常に優秀だからね。トト詠の携帯ドラゴン『トト』は数少ない、本物の『ルナ・センエース化』ができる貴重な逸品。おまけに、ショデヒと適合できるという最高のオマケつき。……奪いたくなる気持ちは分からないでもない。けど、それだけ特別な個体を無理に奪い取ろうとすると、どうなるか……そこまで考えておくべきだったね」
「……」
「まあ、一言で言えば、『ショデヒが、輝木からトトを奪った結果、第一アルファがバグった』んだよね。不具合として顕著だったのは、センくんのクラスメイトの大半が吹っ飛んだことかな。他の連中はどうでもいいんだけど、問題だったのは『君』のデータが破損してしまったこと。……『第一アルファの制御装置』である君に不具合が生じたせいで、マナやナノスピリットが、各地の龍脈からあふれ出ることになってしまった。……今の第一アルファを、無駄に混乱させたくなかったから、各地を駆けずり回って調整して、どうにか、『夜の東高』を集積所にすることには成功したけど……いやぁ、ほんと、大変だったよ……」
「……混乱させたくない……蝉原勇吾の言葉とは思えないな」
「俺の手で巻き起こす混乱ならともかく、手違いの混乱なんか、ダルいだけだよ。今回の俺の目的は、世界の混乱じゃなく、セン君に対する挑戦だしね。余計なクライシスは面倒なだけ」
「……現状でも、君たちは、私のクラスメイトに……『田中・イス・未来流』に対するアタックだけは続行しているようだが、それは?」
「それは普通に俺達のせいだね。もともと、未来流のことは、トウシ同様、隔離する予定だったから。ミライルを放置していると、ルシファーが介入してくる可能性がゼロじゃない。今、彼女に出てこられると、本当に邪魔なだけだから。……あくまでも、邪魔してほしくないだけで、ミライルの事を殺す気とかはないよ。本当に、本当に、単純に邪魔だから、一時的に大量の負荷をかけてフリーズさせているだけ」
蝉原たちのアタックにより『田中・イス・未来流』の『コスモゾーンに対するアクセス権』は、一時的に機能しなくなっている。
『田中機関』が機能しなくなったことで、結果として、久剣が携帯ドラゴンを入手するという流れもなくなった。
「田中関連は俺たちのせいだけれど、君に関する件は、本当にただの不具合。君に問題が生じたせいで、無数のバグが出てしまった」




