最終話 無数に存在する世界線の中の……仮に、君の記憶にある世界線をAとして、今、君は、世界線Bに、記憶だけ紛れ込んでいるのかも……という仮説。
最終話 無数に存在する世界線の中の……仮に、君の記憶にある世界線をAとして、今、君は、世界線Bに、記憶だけ紛れ込んでいるのかも……という仮説。
(絶対にないとは言い切れないが、聞いたことはない。……少なくとも、よくあることではないな)
(じゃあ、この状況、なんなの? 教えて、ヨグ先生)
(知らん)
(なんて役に立つシリなんだ……あまりに便利すぎて、一生、手放せないねぇ)
と、嫌味を一つ挟んでから、
センは、クラスメイトの何人かに話を聞いて、
かつ、スマホで、他の『チーム蝉原』の面々に連絡をいれて、
昨日までの自分の記憶と齟齬があるかを確かめた。
結果、
明確に、記憶と違う点があった。
それは、
(星桜だけじゃなく、輝木も、ポイントで買うことなく、最初から携帯ドラゴンを所持しているのか。……妙な違いだな……)
『輝木が最初から携帯ドラゴンをもっている』ということで、
序盤の流れに大きな変化がみられた。
輝木が、秒で、神話生物をぶっ殺せたので、
ウムルDの登場までは、
センの記憶にある流れよりも、だいぶぬるかった模様。
ただ、輝木の携帯ドラゴンの性能がそこまで高くないので、
ウムルD以降の流れでは、結局、セン頼り。
後半の流れはほとんど違いがなかった。
――最後に、昼休み、屋上で、蝉原デスガンと確認作業を行う。
「というわけで、蝉原さんよぉ……俺の記憶が、なんかバグってんだが……その辺に関して、何かご意見、ご感想、ご助言等、何かあります?」
「……ふむふむ、なるほど……」
「意味ありげに頷くだけじゃなく、何か、先に進めそうなヒントとかもらえないか?」
「これは、一つの仮説だけれど……」
「はいはい、なんざんしょ」
「君の記憶だけが、平行世界に紛れ込んでしまった……のではないかな?」
「幼稚園児にも分かるように言ってくれ。俺の理解力は、出来の悪い5歳児と、だいたいイーブンだと思ってくれていい」
「世界線が無数に存在する……という概念は知っているだろう?」
「それ、シュタゲでやってたっ! だから、ぼく、しってる! ぼくは、くわしいんだっ」
「無数に存在する世界線の中の……仮に、君の記憶にある世界線をAとして、今、君は、世界線Bに、記憶だけ紛れ込んでいるのかも……という仮説だよ」
「仮に、その仮説が正しいとして……なんで、そんなことになったんだと思う?」
「んー……まあ、シンプルなバグじゃないかな、結局。世界線を司っているシステムに何かしらのエラーが起きた……と考えるのが丸い気がするよ。実際のところは知らないけれどね」
と、そこで、
屋上に出る扉がガチャっと開いた。
一人の美少女が屋上に出てきて、
センの隣に腰をかけて、
「閃くん、今日もカッコいいねっ。大好きっ」
と、だいぶハイなセリフをぶっかましてきた。
――彼女の名前は『宇宙夢 星黄泉』。
変な名前が多いセンエースのクラスメイトの中でも、
トップクラスにイカれた名前の持ち主。
「閃くん、好きですっ! 私の恋人になってくださいっ」
「その罰ゲームネタ、もういいって。いつまでやってんだ」
ダルそうにそう言うセンに、
アザトスは、
「罰ゲームじゃないよっ!」
「うるせぇよ。お前みたいな、陽キャの美少女が、陰キャボッチの俺に告白するってのは、罰ゲーム以外にありえねぇんだよ。俺は詳しいんだ」
センは、ダルそうに、タメ息交じりにそう言ってから、
「てか、アザさんよぉ……一応、お前にも聞いておくけど……お前、昨日……ってか、ここ数日、休んでた? それとも、普通に登校してた?」
「え? 休んでないよ。皆勤ではないけど、その勢いだよ。今日も閃くんラブのアザトスちゃんだよ。結婚しよっ」
完璧な最終回でしたね。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
ミリオンレイス先生の次回作にご期待ください。
ちなみにミリオンレイス先生の次回作は。午後に登校します(*´▽`*)




