893187821878237564話 8時だよ、だいたい全員集合。
893187821878237564話 8時だよ、だいたい全員集合。
――翌日の朝、
昨夜、『200億年修行する』というハイレートが過ぎる一日を過ごしていながら、センは、普通に起きて、学校へと向かった。
もう、この一文だけでも、彼の異常性がご理解いただける気がする今日この頃。
当たり前のように、登校し、当然のように、自分の教室に入ったセンの視界に、ちょいと驚くべき光景が飛び込んできた。
教室で巻き起こっていた異常事態。
それは『普段通りである』という点。
なんと、昨日まで、輝木以外、全員が休んでいたというのに、
今日は、逆に、全員集合していた。
※ 死んでしまった百目鬼、龍牙峰、高橋の三名は不在。
(急に、全員、そろってんだけど。殺された3人以外全員……なに、これ……いや、まあ、俺と輝木以外、全員休んでいた昨日の方が、やべぇ状態なのは確かなんだけど……でも、急に、全員て……なんだ、これ……)
世にも奇妙なクラス事情に困惑しつつ、
センは、自分の席につき、隣の反町に、
「おい、反町さんよぉ。お前、昨日は、なんで休んだ? てか、今日、教室に人が多いな。急に、みんな、インフルから回復したのか? そんなことある? いや、昨日までの方が異常だってのは理解してんだけど……」
と、そう声をかけると、
反町は、眉間にしわをよせて、
「はぁ?」
「なんだよ、はぁって」
「俺、昨日、休んでねぇし、昨日と今日で、クラスのメンツ、かわらねぇだろ」
「……え? いや、昨日は俺と輝木しかいなかったけど」
「またお得意のキチ〇イボケか? それ、いい加減、やめろよ、かったるいだけだから。なにがファントムトークだよ。ただ単に、言動がバグってるだけじゃねぇか」
「……ほう……」
と、センは、湿度の高い感嘆符を口にしてから、
ザっと勢いよく立ちあがり、
流れるように、輝木の近くまで歩くと、
彼女に、
「輝木、昨日は、俺とお前しか登校してなかったよな?」
「え? い、いいえ……昨日も、みんな、登校していましたよぉ」
「……マジかよ。じゃあ、えっと……『昨日、俺と一緒に学校をサボった』……という記憶はあるか?」
「はい。一緒にサボりましたねぇ。それで、あなたは、昔の知り合いを探しにいってぇ、私は、約束神化の練習をしていましたぁ」
「……それは記憶と合っているのか……これ、俺がおかしいのか、世界がおかしいのか、どっちだ……判断に悩むな……ソウルゲートから出るときに、『ソウルゲートに入る前の記憶』をインストールされたが……それがバグっているのか?」
そこで、センは、自分の中にしまい込んでいる『ヨグ』に、心の内で声をかける。
(ヨグ……ソウルゲートから記憶を返却された際に、その記憶がバグっていることってある?)
(絶対にないとは言い切れないが、聞いたことはない。……少なくとも、よくあることではないな)
(じゃあ、この状況、なんなの? 教えて、ヨグ先生)
(知らん)
(なんて役に立つシリなんだ……あまりに便利すぎて、一生、手放せないねぇ)




