12話 センセーは、まったくタイプではないっすけど、仕方ないから、栄誉あるキープ1号くんにしてあげようかなぁと思っとる今日この頃っす。
12話 センセーは、まったくタイプではないっすけど、仕方ないから、栄誉あるキープ1号くんにしてあげようかなぁと思っとる今日この頃っす。
『誰が運ぶかモメる』ということよりも、『迅速に安全な場所に運ぶべき』という倫理観が勝ったため、高速の運搬能力を有する輝木と星桜の二人が、秒速のジャンケンで『どちらが運ぶか』というのだけを決める。
ジャンケンに勝った星桜が、お姫様抱っこで、センを、保健室のベッドまで運んでいく。
センが死んだように失神している横で、容体な急変しないか様子をうかがいつつ、星桜たちは会議を開始した。
センエースに関すること。
約束神化に関すること。
ミゼーアのこと。
ショデソウのこと。
シンプルに今後のこと。
『今夜起こったこと、目にしたこと、経験したこと』を軸にして、
色々と話し合った結果、
輝木が、星桜に、
「星桜サン、次の夜までに、センイチバンから、呪いを回収しておいてくださいねぇ。あなたのものはあなたが背負うべきですぅ」
「言われるまでもなく、分かっとるっすけど、ウチの人が、返してくれへんのっすもん」
「……その、『ウチの人』とかいう妙な言い方はなんですかぁ。センイチバンは、あなたの人ではありませんがぁ」
「ここまで熱烈に口説かれてもうたら、流石のボクも、シカトできん感じっすね。センセーは、まったくタイプではないっすけど、仕方ないから、栄誉あるキープ1号くんにしてあげようかなぁと思っとる今日この頃っす」
「……」
「なんすか、その目は。もともと『殺人鬼を殺す鬼』みたいな目をしとったけど、さらにもう一段階ほど鬼度が増しとるやないっすか。元気いいっすね。なにかいいことでもあったんすか?」
「……『呪いを戻すための器』が必要ですからぁ……星桜サンを殺すわけにはいかないかなぁ、とか思っていましたがぁ……最悪の時は、私が器になればいいかなぁ……と思い始めておりましてねぇ。そうなると、もはや、星桜サンを生かしておく理由がゼロになるんですよねぇ」
「おっと、ずいぶんな殺気っすねぇ。そこまでの殺気を向けられたことは、これまでの人生で一回もなかったかも」
などと、そんなことを言いつつ、
星桜は、首をゴキゴキっと鳴らし、
「だいぶ邪魔者あつかいされとるけど……ボクとしても、おたくはんが、すごい邪魔なんすよねぇ。ボクとセンセーの間にある関係性は、もう、あんた如きではどうしようもない次元にまで至ってしもうとるんやから、黙って見守っといてほしいんすけど。――ハッキリ言わな分からんのやったら、もう言うたるけど……センセーが、ボクに求婚しとる以上、もう、あんたに可能性はないねん」
「妄想がすごいですねぇ。……センイチバンが、あなたと初めて顔を合わせてから、今この瞬間に到るまで、ずっと近くで見ていましたが、センイチバンは、あなたに対して一度も、求婚などしていませんよぉ。というか、ずっと、『星桜サンのことをキモがっていた』という記憶しかありませんねぇ」




