6話 プロセスの可視化が不可能すぎて、結果を受け入れることが難しい。受け入れたいという感情はあるのだが、理性の部分が無意識的に『いやいやいや』と、総ツッコミをいれている。
6話 プロセスの可視化が不可能すぎて、結果を受け入れることが難しい。受け入れたいという感情はあるのだが、理性の部分が無意識的に『いやいやいや』と、総ツッコミをいれている。
「なんで、あんなに、いっぱい、ダミーがあるんだよ……ダミーなんて、普通、一個か二個……多く見積もっても10個とかが関の山のはずだろ? なんか、体感、無限ぐらいあったんだけど……あの中から正解のコントロールルームを探しだすとか、普通に心折れるわっ。……はぁ……まったく……」
と、しんどそうに溜息をつきつつ、センは、首肩をゴキゴキっと鳴らして、ミゼーアに視線を向け、
「よぉ、ミゼーア。久しぶりだな。まあ、お前からすれば、俺が旅立ったのは数秒前の出来事だから、久しぶりって感覚は皆無だろうが」
「……なぜ、生きている……センエース。ソウルゲートで200億年など……耐えられるわけがないのに……ヨグの力を使ったのか?」
「ヨグの力ぁ? ふざけんなよ。あいつ、ソウルゲートの中で、俺の邪魔しかしなかったぞ。せめて、話し相手にでもなってくれたら、多少は、寂しさもまぎれたかもしれないのに、あの野郎、ソウルゲートの中に入った直後、認知の領域外のことをしゃべったが最後、以降はずっとダンマリを決め込んで、『俺を殺すことだけが魂の生き甲斐』とでも言いたげに、毎秒、襲ってきやがった」
地獄の日々を思い返し、涙を流しそうになる閃光。
「時には人型、時には魔獣型、時には剣型、時には龍型……色々な形態に変形しては、無言で、ひたすら、俺を殺そうと襲い掛かってくるんだ。200億年の間、ずっと。毎日が戦争で、身も心もガリガリに削られ続けるという地獄。……おかげで、めちゃくちゃ強くなれたという実感はあるが、とても感謝はできねぇ。俺に、まだ理性が残っているから、殺していないだけで、あとほんの少しでも自暴自棄になれば、俺は、確実に、ヨグを嬲り殺しにしている」
「……」
センの話を黙って聞いているミゼーア。
センの言葉全てをきっちり咀嚼して、頭の中に流し込んで、考察して、深く追求して、正しく理解したところで、
「ヨグ=ソトースと、200億年間、ずっと、殺し合い続けた? ……それで、なぜ……生きている? 無理だよ。ありえない」
ミゼーアに、センエースを理解することはできない。
『センエースを理解する気がないミゼーア』だけではなく、『センエースを理解したがっている女性陣たち』も、今のセンの言動には難色を示した。
『信じていない』というわけではなく、『あまりにもムチャクチャすぎて、信じるに足るロードマップを描けない』のである。
プロセスの可視化が不可能すぎて、結果を受け入れることが難しい。
受け入れたいという感情はあるのだが、
理性の部分が無意識的に『いやいやいや』と、総ツッコミをいれている。
『いや、センエースさん……流石に、それは厳しくないですか? アウターゴッドの頂点であるヨグ=ソトースと200億年殺し合い続けて生きのこった……ってのは、さすがに、フカシが過ぎません? だって、どう考えても無理ですし……』
――といった具合に沸き上がる『この場にいる全員の疑問符』。




