2話 一貫して、死んだという事実から目を背ける、そのスタンス。嫌いやないっすねぇ。まあ、実際、ようわからん灰化現象を見ただけで、死んだかどうかわからんっすけど。
2話 一貫して、死んだという事実から目を背ける、そのスタンス。嫌いやないっすねぇ。まあ、実際、ようわからん灰化現象を見ただけで、死んだかどうかわからんっすけど。
「センイチバンがいない世界に興味はないので、あとを追って死ぬだけですねぇ。まあ、実際には死んでいないと思いますので、そうはなりませんけどねぇ。センイチバンは死にませぇん」
と、盲目力全快で、そう言い捨ててから、『約束神化・輝木』は、ダっと飛び出した。
出力全開で、ミゼーアと殺し合う。大量の剣を召喚し、暴雨のように暴れさせる輝木。
ミゼーアは、そんな剣の雨の中、優雅に散歩するように歩を進め、
輝木との距離を瀟洒につめると、
「……大量に召喚した剣一つ一つに、強烈な猛毒を仕込んでいるね。君は、異次元砲やフルパレードゼタキャノンのような、照射系は不得意なようだが、毒を扱う才能に関しては、なかなかのものらしい……まあ、私に通用するレベルではないけれど」
そう言いながら、ミゼーアは、
軽めの拳で輝木の腹部に拳をぶちこんでいく。
「ぶふっ!! うげぇっ!」
血の混じったゲロをはく輝木。
数値的には、そこまで変わらないのだが、
戦闘経験値と圧力に差がありすぎた。
そんな二人の間に割って入るように、
星桜が出力全開で、
巨大な大剣を振りかぶりながら特攻。
星桜が力強く振り下ろした剣を、
ミゼーアは右手で、ソっと、
膝のクッションを使いつつ、
衝撃を吸収しながら、軽やかに受け止めて、
「君は……フルゼタだけではなく、なんでも、そつなくこなせるようだね。今の一撃……悪くはなかったよ。相手が悪すぎたから、こうなっているが」
そう言いながら、ミゼーアは、クンッっと、右手に力をこめた。
その瞬間、星桜の手の中の大剣が、細いプラスチック定規ぐらいの脆さでパキンとへし折れた。
星桜は、
「ちっ」
舌打ちしつつ、使い物にならんくなった大剣を放り捨て、
輝木に、
「腹を殴られてだいぶ痛そうっすけど、まだ戦えそうっすか?」
「戦えは……しますけどねぇ……勝てる気は、一切しないですねぇ」
「同意見っすねぇ。このミゼーアとかいうアウターゴッド……ちょっと、強すぎっすわ」
「これは、センイチバンに……任せるしかない感じですねぇ」
「一貫して、死んだという事実から目を背ける、そのスタンス。嫌いやないっすねぇ。まあ、実際、ようわからん灰化現象を見ただけで、死んだかどうかわからんっすけど」
そんな二人の、
『メンヘラをこじらせすぎて、頭おかしいとしか思えない対話』を聞いて、
ミゼーアが、冷めた顔で、
「ソウルゲートで200億年は不可能な数字だよ。センエースは確実に死んでいる。その証拠が、あの灰。君たちのヒーローが死んだという現実を受け入れがたいのは分かるが、目の前で起きたことぐらいは受け止めてほしいものだね」
そう言いながら、ミゼーアは、
星桜の顔面に、綺麗な裏拳を叩き込む。
バキィっと頬を殴られた星桜は、豪快に吹っ飛び、
ズサァアっと地面に倒れこむ。




