101話 神話生物の中で、トップクラスの実力者であることは認めるにやぶさかではないが、センエースという孤高を知っている今では、『それがどうした』という感想以外は抱けない。
101話 神話生物の中で、トップクラスの実力者であることは認めるにやぶさかではないが、センエースという孤高を知っている今では、『それがどうした』という感想以外は抱けない。
グッチャグチャになったと同時、ヨグソードが、淡い光を放出。結果、センの散乱した肉片が、ひゅひゅひゅっと、逆再生したみたいに元の位置に集まって、
「ぶはっ」
ほぼ一瞬で、完全に戻ってしまう。
「はぁ……はぁ……痛ぇじゃねぇか、この野郎。メチャクチャ殴ってきやがって……おやじにもぶたれたことないのに!」
元気にチョケているセンから視線を外し、
ミゼーアは、ヨグソードを睨んで、
「……『その人間の生命力が無駄に高いこと』は理解できているけれど、だからといって、わざわざ、『その人間の武器になる必要性』は感じられない。その人間は邪魔だよ。さっさと捨てて、本気で私と戦え」
「センエースを殺せたら貴様の勝ちだ。センエースを殺すということは、私を殺すことと完全に同義」
「……その、謎の意地をはっている意味がまったくわからないね。とてもじゃないけれど、その人間に固執することに価値があるとは思えない。私と君の闘いは、とても格式高い神聖なものなのに……穢された気分だ」
「一つだけ言っておこう。ミゼーア。私は、貴様との闘いに、格式高い神聖さなど微塵も感じていない。貴様など……これまでに、センエースが葬ってきた無数の神話生物と大差ない。神話生物の中で、トップクラスの実力者であることは認めるにやぶさかではないが、センエースという孤高を知っている今では、『それがどうした』という感想以外は抱けない」
「とことんナメ腐ってくれるね。……君は私を怒らせることにかけては――」
「ごちゃごちゃ言っていないで、さっさと、センエースを殺せ、ミゼーア。本来、センエースが死ねば私も死ぬが、アディショナルタイムを利用して、センエースの死後に、少しだけ『貴様と私だけのタイマン』をしてやる。貴様ごときにセンエースを殺すことは絶対に不可能なんだが……どうしても、私と戦いたいなら、必死になってセンエースを殺せ」
「……いいだろう。その人間を処理し……君を殺す」
目標を定め直すと、
ミゼーアは、全神経を研ぎ澄まして、『センエースを殺すこと』だけに熱中する。
そこから先の死闘で、
センは、何度も死に触れた。
『普通なら死んでいる』という致命傷を無限に食らい続けながら、
センは、
「やばいぃいい! 俺、弱いぃいいい! どうしよう! ヨグぅうう! 勝てないぃいいい! ママァアアア!!」
手の中の剣に泣き言を漏らしてから、
「代わってくれ、ママ! いや、ヨグ! お前の方が絶対に強い! 俺は、耐久パーツとして、お前を支えるから、闘うのはお前がやってくれ! ああ、そうだ、それがいい! あまりのナイスアイディアに、全米が震撼!! さあ、ヨグ! 何をしている! さっさと交代してくれ! おまえならミゼーアにも余裕で勝てる! がんばれ、ヨグ! お前がナンバーワンだ!」




