100話 私は、センエースの所有物となっている。つまり、私を殺すということは、センエースを殺すということ。貴様程度ではセンエースは絶対に殺せない。
100話 私は、センエースの所有物となっている。つまり、私を殺すということは、センエースを殺すということ。貴様程度ではセンエースは絶対に殺せない。
「センエースは、私の眷属だから異質の力を持つのではない。計り知れない異質な力を持つから、私はセンエースの眷属になることを選んだのだ」
そんなふざけたことをぬかすヨグソードに、
ミゼーアは、
「ヨグ……アウターゴッドの頂点である君が、人間の眷属になったというのか? それは、流石に冗談が過ぎるな」
「私の魂魄は、常にセンエースと共にある。ミゼーア……君が私を殺し、アウターゴッドの頂点になろうとしているのは知っているが、私は、センエースの所有物となっている。つまり、私を殺すということは、センエースを殺すということ。貴様程度ではセンエースは絶対に殺せない」
「相変わらず、イケすかない邪神だね。何でも分かった顔をして、周りの全てを見下している。私は、もう君より強いよ、ヨグ……今、この場で、それを証明する」
そう宣言してから、
ミゼーアは、全身のオーラを膨らましていく。
雑味を排除して、丁寧に命を満たしていく。
さっきまでのオーラの捻出を『インスタントコーヒー』に例えると、
今やっているのは、世界的バリスタのドリップ。
じっくり、手間暇をかけて抽出していく。
バチバチと、濃密なエネルギーの波動に包まれていく。
――そして、完成。
ミゼーアの真の姿。
その、あふれ出るオーラ……触れるだけでも、常人なら粒子になって霧散する。
だから、輝木と星桜は、全力のバリアを張って、久剣とウルアを守っている。
ミゼーアは、
セン……というかヨグソードを睨みつけ、
「さあ、結論を出そう。……アウターゴッドの頂点がどっちなのか。全ての世界、全ての概念の中枢に巣食うべきなのは、どちらなのかを」
言い切ると同時、
ドカンと爆発音。
飛び出すだけでも世界が揺れる。
まっすぐに飛びかかってきたミゼーアの拳に対し、
センは、神速の反応で、
ヨグソードの切っ先を合わせた。
ギィイイイインッ!
と、金属の叫び。
センは、自分の手がしびれるのを感じながら、
「うらぁあああっ!」
豪快に腰を回転させて、
ヨグソードをブン回していく。
ミゼーアは、あえて紙一重で回避すると、
センの懐にもぐりこみ、
「ド素人の一般人が……ヨグ=ソトースの剣を振り回しているだけ……流石に、それでは、何にもならないよ。本当の『高み』をナメないでもらいたい」
辛辣な感想を口にしつつ、
センの腹部や顔面に連打を叩き込んでいく。
「うべべべべべべべっ!」
強烈なダメージ。
痛みだけにとどまらず、普通に頭と腹が破裂して、肉片がそこら中に散乱。
ただ、グッチャグチャになったと同時、
ヨグソードが、淡い光を放出。
結果、センの散乱した肉片が、
ひゅひゅひゅっと、逆再生したみたいに元の位置に集まって、
「ぶはっ」
ほぼ一瞬で、完全に戻ってしまう。
「はぁ……はぁ……痛ぇじゃねぇか、この野郎。メチャクチャ殴ってきやがって……おやじにもぶたれたことないのに!」




