98話 『HP0で無限の痛みを背負いきるという矛盾』・『神でも持ち上げられない石を持ち上げる』――そんな、信じられない屁理屈。
98話 『HP0で無限の痛みを背負いきるという矛盾』・『神でも持ち上げられない石を持ち上げる』――そんな、信じられない屁理屈。
「無意識のうちに、メギドを媒体にして、強烈なアリア・ギアスを起動させている。――『田中・イス・星桜の重荷を全て背負う。その代わり……彼女たちを守れる力をよこせ』――……これほど美しいアリア・ギアスが他にあるだろうか。彼女たちのワガママを……命の咎を……センくんは……全て、余さず、受け入れようとしている」
画面の向こうで、
センは、右手を天に掲げた。
すると、その手に、
眩い『虹色の泡』みたいなものが集まっていく。
そして、その泡は、次第に、『剣』の形状へと変化していった。
その神々しい様を見つめながら、
蝉原は、ボソっと、
「……世界線は無限に存在する。そのすべての次元に存在する星桜の痛みを受け入れるという狂気。理解できるかい? 俺にはできない」
そんな蝉原の言葉を受けて、
ショデヒが、吐き気で真っ青になりつつ、
「全ての次元に存在する星桜の痛み……つまり、それは、無限の痛みじゃないのか?」
「まさにその通り。今、セン君は……無限の苦痛と向き合っている。『原初の呪い』だけでも、普通は立っていられなくなるものなのだけれど……彼は、その上で、無限の苦痛を受け入れた。面白いだろう? 彼以上のキチ〇イは、この世に存在しない。絶対に」
「死ぬだけだ! ゆえに不可能! 命には許容量というものがある!」
「HPという概念は、センエースには通じない」
「ど、どういう理屈で……」
「……『HP0で無限の痛みを背負いきるという矛盾』……『神でも持ち上げられない石を持ち上げる』……そんな、信じられない屁理屈で」
「……」
「そこらの一般人じゃ、この屁理屈を取り使うことは絶対にできない。『叫べば使える』ってわけじゃないからね。……コスモゾーンに認めてもらって、いくつか任意システムバグ的な贔屓してもらわないといけない。この贔屓を受けるためには、『垓』を超える時間の研鑽が必要。それだけの時間、『弱い命』を守るために戦い続ける覚悟があれば……この屁理屈を獲得できる」
「……」
「これが、センエースだよ、ショデヒ。アウターゴッドも泣いて逃げ出す……全世界でもっとも美しい英雄」
★
喉がちぎれるほどの咆哮を経て、
センエースは、右手を天に掲げた。
すると、その手に、
眩い『虹色の泡』みたいなものが集まっていく。
そして、その泡は、次第に、『剣』の形状へと変化していった。
華美な装飾品などは一切ない、
極めてシンプルな片手剣。
センは、その剣をギュっと握りしめると、
「涅槃・龍華・煉獄一閃」
剣を少しだけ横に薙いだ。
すると、
その瞬間、
200体以上いた、アウターゴッド級の猟犬たちが、
ズパァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!
と、豪快に、まとめて、一刀両断。
猟犬たちは、一瞬たりとも、もがき苦しむコトすらなく、
安らかに、この世から消えていった。




