95話 『豆鉄砲を撃ちあっていてもラチがあかない。結局、ガチンコで殴り合った方がはやい』……という、脳筋な結論に至る。
95話 『豆鉄砲を撃ちあっていてもラチがあかない。結局、ガチンコで殴り合った方がはやい』……という、脳筋な結論に至る。
本来、フルゼタというのは、一発撃つと、しばらくクールタイムが必要なのだが、星桜は、適性が高いのか何なのか知らんけれども、とにかく、連打することが可能なスペックを有していた。
――その様子を見た輝木が、
「できれば、あと6発撃って、皆殺しにしてほしいんですけどぉ」
そう言うと、
星桜は、渋い顔で、
「三発目、撃とうとしたんやけど、オーバーヒートしたっぽいっすねぇ。これは、しばらく使い物にならんかなぁ……」
そう言いながら、星桜は、フルゼタを消して、
輝木をチラ見して、
「……おたくはんは、フルゼタみたいな必殺技的なやつ、ないんすか? フルゼタみたいな、というか、フルゼタでええんすけど」
言われて、輝木は、
「顕現……【フルパレードゼタキャノン】……」
試しにやってみると、
一応、普通に使えた。
輝木のフルゼタに警戒心をみせるティンダロスの王達。
輝木は、その中の一体に狙いを定めて、
「ブラストオフ!」
フルゼタをぶっ放してみるが、
星桜のフルゼタと比べて、全てのスペックが劣っていた。
威力も、速度も、すべてが普通……
質が悪いわけではなく、数値相応のスペック。
そんなブッパが、警戒している王たちにあたるわけがなく、
余裕でサっと回避されてしまった。
そして、星桜とは違い、当然のように、
オーバーヒートして使えなくなる、輝木のフルゼタ。
ティンダロスの王達は、
「あっちの女のフルゼタは警戒しなくていい」
「あの程度なら、当たっても死にはしない」
ナメたコトを言いつつ、八方にバラけて、
6体それぞれが、己に可能な最善を尽くし、
どうにか、女性陣を皆殺しにしようと頑張っている。
――そんな『6体の王と、女性陣の闘い』を背中に感じつつ、
センは、ミゼーアとボッコボコに殴り合っていた。
もちろん、時折、魔法も撃ちあっているのだが、
どっちも、精神力や魔力バリアなどがハンパないため、
『豆鉄砲を撃ちあっていてもラチがあかない。結局、ガチンコで殴り合った方がはやい』……という、脳筋な結論に至る。
「うぉおおおお!! 閃拳!!!」
この世の果てまでぶっ飛ばすつもりの正拳突き。
そんなセンの渾身の一撃を、
ミゼーアは、バキバキの肉体で受け止めると、
お返しとばかりに、
「はぁあっ!!」
ズゴォオオン!!
と、強烈なライジングトゥーキックで、センの顎を下から吹っ飛ばす。
「ぶへぇえっ!」
のけぞって吹っ飛ぶセン。
そのまま、この世の果てまで吹っ飛ばされそうだったが、
どうにか、空中でキキィっとブレーキをかけて、
「くそがぁあああ! 頼むから、これで、死んでくれや、異次元砲ぉおおおお!!」
ヤケになり、お願いブッパの照射を放つも、
ミゼーアは、軽く半身になるだけで、センの異次元砲を回避する。
『流れゆく電車を、白線の内側から見つめるよう』に、『センの異次元砲が無駄打ちに終わった』のを見届けたミゼーアは、
「鬱陶しいな……」
ボソっと、ダルそうに、そうつぶやく。




