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50話 ジャミの本戦出場は決定。


 50話 ジャミの本戦出場は決定。


 一人抜けたあと、女たちのオーラの質が少し変わった。

 『鉄壁』を感じさせる、ディフェンス特化型のオーラに変貌。


(おいおい、あの細身の女が棄権してから、あいつらのオーラが一段階、強化されたような気がするんだが……なあジャミ、『気のせいだ、安心しろ』と私を励ましてくれ)


(気のせいではない。明らかに増している。それも、この感じ……おそらく、防御を固めるスタイル……十数分やそこらで倒せる相手ではない……もしや、先ほどの細身の女が降りたのは、この強化を促すための、なんらかのアリア・ギアス……?)


(俺のオーダーは、『励ませ』であって、『絶望させろ』ではないんだが?)


(私は、『現実から目をそむけさせること』を励ます方法だとは考えていない。『希望のシッポ』は『絶望を正しく知ること』で、初めて見えてくるもの)


(うるせぇ、『私(九華の第六席)』に、絶望の殺し方を説くんじゃねぇ。言われなくても、そんな事は知っている)



 バロールは、そこで、


(……ったく、勘弁してほしいぜ、いろいろとよぉ)


 溜息をついてから、


(なにがなんだかわからんが、ふりまわされるのは、もうたくさんだ。ジャミ。とりあえず、後ろのガキを潰す。これで、あとは、最悪、私が棄権するだけで、予選は終わりだ。本戦はどちらの武が上か白黒をハッキリさせるガチンコのタイマン。そうなれば、お前の勝ち確。なんせ、お前はゼノリカ一の天才。お前に勝てるヤツなんざいるわけがない)


(……才能の総量を数値化する事はできないため、『私の才能』がゼノリカで一番かどうかは分からない。だから意味のない否定はしない。だが、とりあえず、私に勝てる者は、ゼノリカにたくさんいる。それは事実)


 ジャミの返事を聞いて、バロールは思う。

 確かに、三至天帝や五聖命王の方々は素晴らしい武を持っている。

 だが、ジャミも相当イカれた超天才。

 スーパーエリート集団『九華十傑』のダントツ。

 けた違いの才能を有する彼を見て、バロールは思う。


(確かに、現時点では、まだ、八翼の御方々の方が強いだろう)


 八翼は、三至天帝と五聖命王の八名全員を指す時に用いる言葉。


(だが、近くでお前を見ていると、つい思ってしまう。もしかしたら、いつか、お前は、この世の誰よりも神帝陛下に近づいてしまうんじゃないだろうかと)


 いや、バロールの本音は、実のところ、もっと深いところまで切りこんでいる。

 バロールは思う。

 『ジャミならば、神帝陛下と同じ領域にまで辿りつけるのではないか』

 『これほどの大天才に不可能などないのではないだろうか』


 ――ジャミが言う。


(近づきたいとは思っている。私は己を過小評価しない。カテゴライズ上では、間違いなく、私は、天才と呼ばれる分野に振り分けられるだろう。客観的に己を分析すると、私は才能があり、その才能を開花させるための努力もしている。だから、『神に近づきたい』と願う権利はあると考える。ただ、事実、実際のところ、神に近づけるのは、遠い未来の話だとも理解している。そして、目の前の仕事に集中できない者に、そんな未来は訪れないという事も理解している)


(相変わらず、生真面目で、正論しか言わない、クソ七面倒くせぇ野郎だぜ。私には、お前を殴る権利があると思う)


 バロールの、そんな発言に対し、ジャミはとうとうと、


(別に殴ってきてもいいが、殴り返すぞ)


(ふざけるな! 私が死んでしまうだろう!)


(……ふざけた事を言っているのは、どう考えても、そっちだが……)


 ド天才で、チート持ちで、おまけに、誰よりも勤勉でリアリスト。

 その上、超イケメン。

 全てを持っている男――それが九華の第一席ジャミ・ラストローズ・B・アトラー。





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