93話 どこぞのスーパーなんとか人のバーゲンセールみたいに、次から、次へと、ポンポン、ポンポン、変身しているけれど……
93話 どこぞのスーパーなんとか人のバーゲンセールみたいに、次から、次へと、ポンポン、ポンポン、変身しているけれど……
「センイチバン。あなたが死んだら、私も一緒に死にますからねぇ。私は、全人類とかどうでもいいのでぇ。もし、この世界を守りたいと本気で思うなら、生き残って、自分でやってくださいねぇ」
と、サイコ全開なセリフを口にする輝木。
その横にいる星桜が、輝木を見ながら、
「……やくそくしんか……」
その概念が、頭の中を一気に埋め尽くしていく。
理解と知識と体験。
その三つが、センエースに対して芽生えた想いと重なりあい、
統合され、分解され、再構築され、
そして、膨らんで、自由になっていく。
奔放な魂が、星桜の奥底に刻まれている『本来の豪快さ』をひねりあげていく。
自身の中に眠る『酒神シリーズ』の因子……その胸倉をつかみ上げ、魂の頭突きをかまして、強制的に目覚めさせる。
……結果、
「――約束神化――」
星桜の中で沸騰する命の螺旋。
たどり着いた生命の暴挙。
星桜の全部が膨張していく。
『約束神化・輝木』と、ほぼ同等のオーラを纏う『約束神化・星桜』を見て、
センは、
「それ、もしかして、一定ランク以上の美少女だったら誰でもなれるの? どこぞのスーパーなんとか人のバーゲンセールみたいに、次から、次へと、ポンポン、ポンポン、変身しているけれど」
と、軽く呆れてから、
「……よぉ分からんけど……正直、普通にありがてぇ。約束神化が二人いる現状だと……もしかしたら、死ななくてすむかも……」
そこで、センは大きく息を吸い、
「輝木はウルアの盾になって、星桜は久剣の盾をしろ! 攻撃しなくていいから、生き残ることだけ考えていればいい! 今のお前らなら、そうそう死なねぇ! お前らが時間を稼いでいる間に!」
キッ!!
――と、
ミゼーアと、8人の王達を睨み、
「俺が、あいつらを始末する!! 汚物は消毒だ! ひゃっはぁ!!」
そう叫んで飛び出すセン。
そんなセンの命令を――輝木と星桜は、キッチリと守った。
輝木も、星桜も、独占欲暴走型サイコパスヤンデレなので、
本音で言えば、この場にいる、『自分以外の美少女』を全員抹殺したいと思っている。
しかし、この状況下においては、そんな感情よりも、センエースの命令の方が優先順位としては上になる。
なぜなら、この状況で、自分の感情を優先させれば、絶対に嫌われるから。
邪魔な女を始末できたとしても、センエースにガチで嫌われては本末転倒。
よって、星桜と輝木は、『不滅のヤンデレ魂』にフタをして、
センエースの命令通り、死ぬ気で、久剣&ウルアの護衛に努める。
本当は殺したい。
殺したいけど我慢する、とっても偉いヤンデレ二人。
……『8人の王達の猛攻』を、『約束神化による出力の暴走』で、どうにかさばいていく星桜&輝木。
『数字』で言えば、『ティンダロスの王』と『約束神化』の『出力』はトントン。
だから、8人いる王達の方が、戦力的には、純粋に、4倍ほど上回っている。
ゆえに、まともにやりあうと、ボコボコにやられてしまうわけだが、
星桜&輝木は、『ガードを固めながらの籠城戦一択』なので、
ギリギリ、どうにか、さばけている。




