90話 死にたくないという大前提を、一旦棚の上において、自分の命を、無造作に、卓上へと放り投げる強気のオールイン。
90話 死にたくないという大前提を、一旦棚の上において、自分の命を、無造作に、卓上へと放り投げる強気のオールイン。
「さんざん考えたが、小難しい話は皆無。結局のところ、生存闘争で生き残るしかないってだけのシンプルで原始的な問題。……星桜たちを守りながら、ミゼーアのファンネル部隊10匹を殺し……最後にはミゼーアもぶっ飛ばす……やること多いな。でも、まあ、命をかければ、いけなくもなさそう……」
次元の違う覚悟がかたまる。
死にたくないという大前提を、一旦棚の上において、
自分の命を、無造作に、卓上へと放り投げる強気のオールイン。
相手と自分をビビらせていくキチ〇イプレイ。
命を賭す覚悟をガチガチに固めてから、
センは、背後の星桜に、
「あいつらを殲滅する過程で、俺は死ぬだろうが……どうにか、メギドに、『俺の軌跡』を注ぎ込んで、お前に返すから……明日以降は、お前がヒーローとして頑張ってくれ。……ついさっき『ここからは俺がやる』と堂々宣言しておきながら、恥ずかしいし、申し訳ない限りだが……俺の寿命が今日までだから仕方ないよな」
その発言に対し、
星桜が、強い目で、
「……死ぬ前提やなく、生きて守り続けて欲しいんすけど? どうせなら、最後の最後までカッコつけ通してほしいっすね」
「カッコなら死ぬほどつけているさ。文字通りな。……一ミリたりとも死にたくねぇが……死んでも守ってやる」
言葉を置いてから、
息を吸い、心を整えて、
「……ヒーロー見参」
最後になるかもしれない覚悟を添えて、
本気の意地を口にする。
命を燃やして、
息をするのも忘れて、
無我夢中の暴走で、
ミゼーアに睨みをきかせたまま、
ティンダロスの王達に猛攻をしかけるセン。
極端な暴走。
燃え尽きる前のロウソク。
肉体と心に過度な負荷をかけていくという、この場における唯一正解な、勇逸すぎる悪手。
ナノスピリットを経由することなく、『絶死のアリア・ギアス』的な挙動を、半強制的かつオートで発現させるという狂気。
ジワジワと命のメモリが削れていくのを感じながら、
センは、さらに轟々と命を燃やしていく。
その結果、
「だらぁああああああああああああああああああっ!!」
10体いるティンダロスの王達……その中の一体を撃墜することに成功。
その結果、ティンダロスの王達は、『センエースという奇行種の神風が想像以上にヤバい』ということを認識し、
かつ、『ミゼーアからの命令』を強く再認識する。
結果、ティンダロスの王達は、
『何体死んでもいいから、どうにか、センエースの猛攻をどうにか潜り抜け、女どもを皆殺しにする』
という思考にシフトチェンジ。
ティンダロスの王達は、言葉で意思疎通をはかることもなく、
肌感と空気感だけで、コンマ数秒の『相談』を終えると、
8体は、センエースに対する壁役。
残り1体で、女どもを処理する。
……という作戦を構築し、即座に実行。
「そりゃ、好手過ぎじゃろ、アリンコぉおおおおおおおおおおお!!」




