88話 いくら俺が、ボッチ体質だからと言っても、『結婚より、アウターゴッドをシバく方が簡単』なんてことないよねっ♪
88話 いくら俺が、ボッチ体質だからと言っても、『結婚より、アウターゴッドをシバく方が簡単』なんてことないよねっ♪
「……相当なじゃじゃ馬様だが、だいぶ扱い方が分かってきたぜ。メギドは、ワガママお嬢様に対する執事……いや、超絶ワガママ女王様に仕える老執事長のように、絶妙な間合いで対峙しなければいけない」
『アウターゴッドと殺し合う』という鉄火場の中で、メギドとの距離感を、把握しだすセンエース。
「……そうすれば、どうにか乗りこなせる……と思わせておいて、時折、奇妙なカウンターで、こっちの心労を増大させてくるという、変態的イジワル奇行種ぶり。あえて言おう、カスであると。ハッキリ言うが、俺には、メギドがさっぱり分からない。俺は雰囲気ですら、こいつを理解しきれない」
『理解しきれない』という理解。
大事な第一歩であり、実はゴールでもある。
セラやシューリのような、『酒神シリーズ』と対峙する上で、最も大事な距離感。
「もしかしたら、女とお付き合いするというのは、こういうことなのかもしれない。だとすると、俺には無理だ。俺には難易度が高すぎる。アウターゴッドをシバくよりも、結婚する方が難易度が高そうだ。なんて、あははっ、流石に、それは言い過ぎかっ。いくら俺が、ボッチ体質だからと言っても、『結婚より、アウターゴッドをシバく方が簡単』なんてことないよねっ」
フワリフワリと、『蛾の羽のように軽やかで中身のないトーク』で、世界をイラつかせていく、稀代のキチガ〇イ、センエース。
そんなセンに、
ミゼーアは、
「……確かに、君を殺しきるのは、かなり面倒くさそうだ」
心底ダルそうに、そうつぶやくと、
「やれやれ……たかが人類を滅ぼす程度で、私が、ここまですることになるとは……」
そう言いながら、パチンと指を鳴らした。
すると、ミゼーアの周囲に、全部で10個のジオメトリが出現する。
そのジオメトリから、一斉に、
「「「「「「「「「「ぷはぁ……」」」」」」」」」」
ジオメトリの数と同じ、合計10体の怪物が出現する。
全員、とてつもない覇気を放っていて、
そのオーラの圧力は、
一体一体が、ウムルDを超えている。
そんな10体の化物に、ミゼーアは、
「ティンダロスの王達よ。よく集まってくれた。君たちの忠誠心に、まずは感謝を」
礼節をもってそう言うと、
ティンダロスの王達は、丁寧に、
自分達の主であるミゼーアへ、
最高位の礼儀を示した。
その態度に対し、満足そうにうなずくと、
ミゼーアは、そのまま、ティンダロスの王達に、
「今回、君たちに発する命令は――『この場にいる人間を皆殺しにせよ。ただし、あの龍鎧を纏う者は私の獲物だから手をだすな』――以上だ」
そうオーダーを出すと、
ティンダロスの王達は、一度、ミゼーアに向かって、丁寧にお辞儀をしてから、
セン以外の人間……つまり、輝木、ウルア、久剣、星桜の四名に向かって、ギロっと殺気を飛ばしていく。




