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39話 最悪を想定したプラン。


 39話 最悪を想定したプラン。


 激闘がはじまる。

 そう思ったが、

 しかし、これまでと、状況は何も変わらなかった。

 第三勢力の女たちは、ひたすらに、ヒラヒラと逃げ続けるだけ。


「おい、どういうつもりだ!」


「見て分からないのであれば、言っても分からないだろうが、一応、教えてやろう。この場において、私達が確認したいのは、『予選を突破できる力があるかどうか』であり、『私達を倒せる力があるかどうか』ではない」


 バロール&ジャミの二人は、即座に、Aの意図を理解した。

 戦闘能力ではなく、問題解決能力をはかられている。


(めんどくせぇことを……)

(マズいな……彼女達の力は、おそらく、我々と同等……同等の相手から数十分逃げるなど、造作もない……)


 低いレベルで同等ならば、『体力不足』や『逃走手段が少ない』などの様々な要因から『逃げ切る』だけでも難しいが、ジャミたちの領域になってくると、体力も耐久力も『仕上がっている』ため、『逃げる』ことだけを考えて行動されると、なかなかつかまえるのが難しくなってくる。


 ――Aが口を開いて、




「のこり、18分。武舞台上にいる者を五名以下に減らせなければ、貴様らは脱落。そうなった場合、貴様らのことは、『我々の秘密を知るに値する力はない無能』と判断させてもらう」




「無能……だと……わ、私たちを誰だと……我らは、栄えある――」


 プルプルと怒りに震えているバロールに、

 Aは、切り捨てるように言葉を投げる。



「無能呼ばわりされたくないのであれば、ゴチャゴチャ言わずに、力を示せ。我らの期待を背負うに値する資質が貴様らにあるか、我々はそれが知りたい。無価値な御託が聞きたいわけじゃない」


 Aの宣言で、バロールの顔から怒りが消えた。

 限界を超えたのだ。

 とことんまで、冷静になる。

 ゆえに、


「……いいだろう……」


 ボソっと、そうつぶやき、チラと、ジャミに視線を送る。

 組織を背負った者たちの、組織の威厳をかけた作戦会議が始まる。


(あいつらの狙いは、よくわからんが、『俺たちのせいでゼノリカがナメられる』という結果になる事だけは絶対に回避しなければいけない)


(当たり前の話だ)


(というわけで、一人だ。どうにかして、一人を潰す。あとは、後ろのモンジンとかいうクソガキを飛ばして、俺が降りる。これで、お前は予選を通る)


(随分と消極的な意見だと言わざるをえない。二人倒して、共に予選を通過すればいいだけの話だろう)


(私は、『最悪の場合』を想定して話をしている。もし、あの女どもを二人倒すのが厳しそうであれば、どうにか一人だけでも倒す。棄権は『終了する一秒前』でも出来るから、それまでは、もちろん、全力で闘う。どうしても二人撃破できなかった時、棄権をして、どうにか、本戦まで進む。……そして、その場合、本戦に進むのは私ではなくお前だ。いいな、頼んだぞ)


(……わかった。しかし、あくまでも、『最悪の場合』に限ったプランだ)


 ――そう言い合ってから、二人は、『この5人の中だと最も動きが鈍い細身の女(以降、K)』だけに焦点をしぼり、逃げられないよう、はさみうちを仕掛けた。


 すると、Kは、



「第一フェーズ、終了っ。第二フェーズに移行するっ☆」



 ボソっとそうつぶやいてから、手を上げて、


「259番((K))。体調不良により、棄権するよっ☆」


 そう宣言して、その場から瞬間移動で姿を消した。

 これで残りは七人。



(ど、どういう……)

(いったい、なんのつもりだ?)



 ワケの分からない展開に、混乱まではしないが、警戒心が膨れ上がる。

 ジャミたちは気付いていないが、

 ――ここから、本当の『試練』が始まる。




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