81話 殺し合いにおいて、最強の盾は、『あるに越したことはない』が、それよりも、『矛』の方が重要だろう。
81話 殺し合いにおいて、最強の盾は、『あるに越したことはない』が、それよりも、『矛』の方が重要だろう。
バランスを崩しそうになった星桜の腕を、ミゼーアは、紳士的に、ガシっと掴み、『幼児がこけないように』といった具合で、姿勢を整わせると、パっと手を離し、
「君が極めて優れたマジックアイテムを保有していることは理解したが……ソレが通じるのは、GOOまでだね」
と、優しく諭すようにそう言うと、
フイっと、右手の人差し指を動かした。
その瞬間、星桜の身体が、
『飛び出す前』と全く同じ位置に転移した。
一連の流れで、『力の差』みたいなものを、
ハッキリと理解した星桜は、
そのあまりの『差の大きさ』に愕然とする。
(し……信じられない程の高み……あかん……メギドではどうしようもない……)
真っ青な顔になっている星桜に、
ミゼーアが、背中で、
「ものには順序というものがあるんだよ。私は、彼を殺してから、君たちを殺すと決めている。神の決めた順序を、イタズラに乱すものじゃない。そう焦らなくても、すぐに殺してあげるから、ちょっとだけ待っていなさい」
と、丁寧な口調で、そう言ってから、
ミゼーアは、ググっと右の拳にオーラを集め、
グワっと、まっすぐな右ストレートを、センの顔面に叩き込もうとした。
その一手に対し、センは、
「ドリームオーラ・オメガバスティオン!!」
たった一つの対抗策で応える。
暴力エネルギーを無力化するバリアを前に、
ミゼーアは、
「……ほう……波長を合わせて相殺させたのか。すごいじゃないか。アウターゴッドの上澄みである私でも、そんな大道芸はできない」
「俺の怖さが分かったか? なら、とっとと消えるんだな。ぶっとばされんうちに」
「面白い大道芸が使えるのは分かったが……そのスキルの性質的に、『攻撃エナジーへ転換させること』等はできなさそうだから、私を処理することは不可能な気がするのだが? ダメージをゼロにすることが出来ても、相手にダメージを与えることが出来なければ、殺し合いに勝利することはできない。殺し合いにおいて、最強の盾は、『あるに越したことはない』が、それよりも、『矛』の方が重要だろう」
「まったくもって同意見だぜ。俺も、本来の性格的には、『ホワ〇トナイツ(0点で抑えれば1点で勝てる)』よりも『デビルバ〇ツ(99点取られても100点取れば勝てる)』派でな」
と、しょうもない戯言を口にしてから、
センは、毘沙門天に、『限界を超えて舞え』のオーダーを出し、
「というわけで、100点を取りにいくぜ! くらぇええええ!! これが俺の全部だぁあああ! できれば、ちょっとはダメージを受けてください、よろしくお願いしまぁああああすっ!!」
などと叫びつつ、
「龍閃崩拳っっ!!!」
今のセンに出せる全力の一撃をお見舞いしていく。
それは、素晴らしい一撃だった。
人類という脆弱種の視点では、間違いなく最高峰の一撃。
……そう。
決して悪い一撃ではなかった……のだが……




