79話 『お前のものは俺のもの。俺のものも俺のもの』っていう『ことわざ』を知らんのか。ジャイアニズム的純粋否定形而上理論で言えば、こいつは既に俺のもの。
79話 『お前のものは俺のもの。俺のものも俺のもの』っていう『ことわざ』を知らんのか。ジャイアニズム的純粋否定形而上理論で言えば、こいつは既に俺のもの。
「ちょっ……ミゼーアさんよぉ……きょ、今日のところは、いったん、お引き取りいただけないですかねぇ……ちょっと、アウターゴッドの相手ができるコンディションじゃないというか……立っているだけで精一杯と言いますか……ぶへぁああっ! はぁ、はぁ……そ、そんなわけですので……今日のところは、なにとぞ、ぜひ、お帰り頂く方向性で、どうか――ぶっはぁああっ!!」
セリフ終わりに、噴水のような血をはくセン。
眩暈、立ち眩み、疲労感、倦怠感、腹痛、頭痛、エトセトラ。
ありとあらゆる症状にさいなまれて、本当に、立っているのがやっと。
センは、口元の血を拭いながら、
「ぜぇ、ぜぇ……すごいな、これ……やばぁ……エグすぎて、鼻毛まで白髪になりそう……『俺じゃなきゃ1秒も耐えられないね』と言いたいところだが……」
そこで、センは、セラをチラ見して、
「あんた、こんな重たいもん背負った状態で……俺らのこと、守ろうとしたのかよ……頭、オカしいんじゃねぇの? キモすぎ……ぶぇええっ!」
「ボクの視点では、センセーの方が数倍単位でキモいっすけどねぇ。もうええから、返してや。それはボクのもの――」
「うっせぇよ。『お前のものは俺のもの。俺のものも俺のもの』っていう『ことわざ』を知らんのか……はぁ、はぁ……ジャイアニズム的純粋否定形而上理論で言えば、こいつは既に俺のもの。……ちなみに、返さないとは言っていないぜ。永久に借りるだけだ」
そこで、センは、
黙ったまま、センを観察しているミゼーアに視線を向けて、
「ちょっと、ミゼーアさん……いつまで、そこにいるんですか。はやく、お帰り下さい。今日のところは、俺ら、あなた様をおもてなしできる状態にないので、また後日、あらためて――」
「そういう訳にもいかない。私の仕事は、君たちを殺すことだからね」
そう言いながら、
全身のオーラと魔力をギュンギュンに高めていくミゼーア。
存在するだけでも、だいぶイカつかった威圧感が、さらにグワっと膨張する。
その簡易な初手だけで、センは全てを理解できた。
「うわぁ……別格ぅ……イカちぃ……ウムルDがゴミに見えるほどの膨大な圧力なんですけどぉ……チョベリバァ」
ミゼーアの輝きは、ウムルDを大幅に超えていた。
存在値的には、実のところ、大差ないのだが、
『それ以外の全ての圧力』が信じられないほどに膨大。
ミゼーアのヤバすぎる力を目の当りにしたセンは、
「まったく……俺の人生、ナイトメアマストダイが過ぎるぜ……」
などと、テキトーなことをほざきつつ、
無敵の精神力単騎で、
『全身を襲う症状』を、
パワハラ全開に、これでもかと、
完全に黙らせてから、
「……さて……じゃあ、行こうか……しゃーねぇから、守ってやるよ。人類全部」
ガンギまった目で、ミゼーアをにらみつける。




