78話 うる……せぇ……ガタガタぬかすな。この程度……俺にとっては、昼下がりのコーヒーブぅぇええええ!!
78話 うる……せぇ……ガタガタぬかすな。この程度……俺にとっては、昼下がりのコーヒーブぅぇええええ!!
グニャアアアっと、脳内をかき回されるような衝撃。何が何だか分からず困惑していると、次第に、その謎の衝撃がおさまっていき、気づいた時には、産まれた時からずっと全身を覆っていた謎の倦怠感や吐き気や頭痛など、諸々の不快感や苦痛が一切合切なくなっていた星桜。
「……え……」
そして、星桜は、自分の中から、明確に『死の気配』が消えていることにも気づく。
余命数時間どころか、100歳まで余裕で生きられそうなほどの、生命の活力を感じる。
「いったい……」
と、星桜が不思議に思っていると、
『謎に自分の頭を撃ち抜いてきたセン』が、
「うぼぉげぇえええええっ!」
大量に吐血しながら、その場でのたうちまわる。
「えぐい、えぐい、えぐいぃ! マジか、これぇえええ! うぇえええええ!!」
嘔吐、吐血、嘔吐……
不快感のフルパレード。
センの『やべぇ有様』と、
自分の身体の完全治癒状態……
二つの情報から、たった一つの真実を導いたセラは、
眉間にシワを寄せて、
「バカか、あんたは! 返せ! それはボクのものなんやから、ボクが背負って死ぬんが道理や!!」
慌てて、返還要請してくるセラ。
そんなセラを尻目に、
センは、ゲロを吐きながら、
「うる……せぇ……ガタガタぬかすな。この程度……俺にとっては、昼下がりのコーヒーブぅぇええええ!!」
大事なファントムを言い切ることすら出来ずに嘔吐するセン。
そんなカオスが過ぎる状況で、
ガチガチガチガチガチ……
と、奇妙な音が響く。
そして、地面にバーっと広がる膨大なジオメトリ。
それを見たセンが、血を吐きながら、
「……クソ以下のタイミングで……来てんじゃねぇよ……」
と、心底鬱陶しそうにつぶやいた。
……ギラギラバチバチっと、電気が走る。
空気がきしむ。
そのイカつい雰囲気に、場が凍り付いていると、
「……ぶはぁ」
――現れたのは、
『クソでっかい青い狼』の異形。
バッチバチのエネルギーに包まれた、いかにもな邪神様。
その『バカデカい青い狼』は、登場すると同時、
ギュギュっと体を縮ませていき、
サイズも形状も人型になると、
「はじめまして。私は大君主ミゼーア。外なる神にして、君たちを殺す者……なのだが……私が手を下す前に、なぜか、すでに、一名、死にかけている様子。これはいったい、どういう状況かな?」
吐血でグシャグシャのセンを見ながら、
ミゼーアは、呆れた感じで、そうつぶやく。
そんなミゼーアに、センは、血を吐きながら、
「ちょっ……ミゼーアさんよぉ……こんな足元の悪い中、御足労いただいたばかりで申し訳ないが……ぶへぇっ!! ぜぇ、ぜぇ……きょ、今日のところは、いったん、お引き取りいただけないですかねぇ……ちょっと、アウターゴッドの相手ができるコンディションじゃないというか……立っているだけで精一杯と言いますか……ぶへぁああっ! はぁ、はぁ……そ、そんなわけですので……今日のところは、なにとぞ、ぜひ、お帰り頂く方向性で、どうか――ぶっはぁああっ!!」




