77話 バカだな、蝉原くんは。美少女ってのは、いくらでも使い道があるんだよ。これだけの上玉なら、一晩働かせるだけでも相当な額になりそうだ。
77話 バカだな、蝉原くんは。美少女ってのは、いくらでも使い道があるんだよ。これだけの上玉なら、一晩働かせるだけでも相当な額になりそうだ。
「今から敵がくるというなら……それは、僕がやっつけておくんで……センセーたちは逃げてええっすよ」
「……あんた、死にかけの重病人だろ? その状態で、なんで、俺らを逃がそうと……守ろうとするんだ? 意味が分からんのだけれど?」
そんなセンの問いかけに対し、
セラは、
一度、ニっと笑って、
「ヒマやったから、つい、出来心で」
などと、病的な言葉を口にした。
その言葉に撃ち抜かれたセンは、
「……ビークールじゃねぇか。震えたぜ」
そう言いながら、センは、
蝉原デスガンの銃口をセラに向ける。
「……なんの真似っすか?」
「さぁ……なんだろうな」
「……なんで、そんな真似しとるんか分からへんっすけど……一応言っておくと、そのゴミみたいな銃じゃ、ボクの携帯ドラゴンバリアは貫けへんっすよ」
そこで、センは、脳内で、蝉原デスガンに、
(蝉原……聞こえているだろ)
(ああ)
(この女って、病気なんじゃなく、何か呪いにかかっている気がするんだけど……それって気のせい?)
(いや、気のせいじゃないねぇ。彼女はかなり重たい呪いにかかっている)
(で、お前を使って、その呪いを奪い取ることが可能な気がするんだけど……それって気のせい?)
(いや、気のせいじゃないねぇ。俺を使うことで、君は彼女から呪いを奪い取れる)
(……俺、なんで、こんなに、的確に、『この状況を処理できる手段』を思いつけるの? なんか、頭の中で、『こいつが呪われていて、お前を使えば、呪いを奪える』って妄想が、ジワァって、勝手に浮かんできたんだけど。これ、なに? ……怖いんだけど)
(理由を聞かれても、俺には分からないとしか答えられないね)
(だろうな)
(もう一つだけ助言できることがあるとすれば……その女は放っておいた方がいいってことだね。この女の呪いを背負うのは単純にきついだろうし……そこまでして助けても、この女に使い道はないよ。彼女が持っている携帯ドラゴンは、簡易版でゴミ雑魚だから、アウターゴッドが相手だと、クソの役にもたたない)
(バカだな、蝉原くんは。美少女ってのは、いくらでも使い道があるんだよ。これだけの上玉なら、一晩働かせるだけでも相当な額になりそうだ。その辺のあれこれに関しては反社代表のお前の方が詳しいはずだろ? うぇっへっへ)
(そうだねぇ。鬼になる覚悟さえあれば、若い女の使い道は無限にある)
(だから、ここで恩を売っておく。それだけの話さ)
心の中で対話をしてから、
問答無用で引き金を引いた。
ズガンと頭を撃ち抜かれたセラ。
セラは『携帯ドラゴンの自動展開バリアがあるので、衝撃すら受けることはないだろう……』と思っていたのだが、しかし、えげつない衝撃で、頭が爆発しそうだった。
グニャアアアっと、脳内をかき回されるような衝撃。
何が何だか分からず困惑していると、
次第に、その謎の衝撃がおさまっていき、
気づいた時には、
「……え?」
産まれた時からずっと全身を覆っていた謎の倦怠感や吐き気や頭痛など、諸々の不快感や苦痛が一切合切なくなっていた。




