75話 こんな、『重篤という概念の擬人化』みたいなヤツをメンバーにしてんじゃねぇよ! 闘う前から余裕で王手じゃねぇか!
75話 こんな、『重篤という概念の擬人化』みたいなヤツをメンバーにしてんじゃねぇよ! 闘う前から余裕で王手じゃねぇか!
「親方! 空から女の子が!」
……落ちてきたのは、ウルア以上の絶世美女だった。
――彼女の名は……田中・イス・星桜。
性格が悪いことでおなじみ田中家の中でも、性根の腐り方にかけては他の追随を許さない別格。
本来の彼女であれば、
登場と同時に、ド派手な性根の悪さをぶちかましていくところ……なのだが……
「はぁ……はぁ……」
セラは、真っ青な顔で、息も絶え絶え。
末期の重病患者みたいな瀕死の様子。
そんな彼女の様子を見たセンは、
両手で頭を抱えて、
「おいおいおいおいおいおいぃいいいいい!! どこの病院から連れ出してきてんだ、この重病人!! こんな、『重篤という概念の擬人化』みたいなヤツをメンバーにしてんじゃねぇよ! 闘う前から余裕で王手じゃねぇか! お荷物ってレベルじゃねぇぞ!」
わーわー騒いでいるセンの向こうで、
セラは、息も絶え絶えのまま、周囲を見渡し、
(……この転移……は……神話生物の……攻撃か……?)
セラは、神話生物のことが書かれている古文書を読み込んでおり、
かつ、古文書に書かれていることの大半が事実であることを理解しているため、
このような、バグった状況に陥っても冷静に、情報処理が可能。
ゼェゼェと肩で息をしながら、
セラは、『自分に対して転移魔法を使った相手』を探す。
――エアウィンドウに表示されているショデソウを目視すると、
(あいつ……か? ……仮に、あいつが主犯やったとしても……あのエアウィンドウは、おそらく、『認知の領域外の映像を表示しているだけの状態』やから……何をしても、攻撃が届くとは思えん……いや……ウェーブ系なら届くか?)
などと考えていると、
そこで、センが、セラに、
「おい、あんた……そんなヤベェ状態で、こんなえぐい状況に陥っていること、心からお気の毒に思うが……とりあえず、現状をサっと説明するから、理解だけしておいてくれ。GA〇TZって漫画知ってる? ようは、現状、あれなんだけど」
そんな風に説明してくるセンの顔を見て、
セラは、
(……閃壱番……)
すぐにパっと名前が浮かぶ。
トウシから『閃についての話』は聞いていたし、
何度か遠目に顔を見たこともあるのでバキバキに認知はしている。
セラは、過去に、何度かセンに声をかけようとしたが、
その度に、まるで運命が邪魔でもしているみたいに、
極度の体調不良になったり、世界が緊急事態に陥ったりして、
結局、センと接触することは叶わなかったが。
センが、てきぱきと、簡潔に、現状の説明をしていると、
そこで、セラが、
「うぐっ……がはっ!!」
大量の血を吐いて、ガクっと膝から崩れ落ちる。
(ま、まずい……もう体がもたん……)
セラは、先天的な不治の奇病にかかっており、
余命的にはもう完全に尽き欠けている。
いつ命を終えても不思議じゃないし、
もっといえば、
まだ生きているのが不思議……というレベルの極限状態。




