71話 今夜、まさに、『アウターゴッド級の宇宙人』が、確定で、地球に侵略しにくるって言ってんのに……300人委員会様は、随分と呑気だな。
71話 今夜、まさに、『アウターゴッド級の宇宙人』が、確定で、地球に侵略しにくるって言ってんのに……300人委員会様は、随分と呑気だな。
ジっと、センの顔を見るウルアの爺さん。
惚れ惚れとした顔で、センに、
「とてつもなく高潔なオーラ。これほどまでの高貴で穢れのない覇気を感じたのは……初めてだ。まさか、ここまで逸脱した気高さを有する人間がいるとは……」
「あんたらの家系は、俺が『謎の物体X』に見える呪いにでもかかってんのか? 宇宙人との殺し合いで、それなりの結果を出せる自信はあるが、気品とか高貴さ的なものは一切持ち合わせていないんだが……」
と、しんどそうにそう言ってから、
センは、首を左右に振って、
「てか、そんな話している場合じゃねぇな……」
そう言いつつ、センは立ち上がり、
「来い、毘沙門天」
激しいオーラを放つ剣翼を、背中に顕現させ、
「これを見せれば、その『上』ってのを、説得することは可能っすか?」
その発言を受けて、センの意図を正式に理解したマサヨシは、
極めて真摯な態度と口調で、
「その手のオーバーテクノロジーは、異世界より、たまに転移してくるし、神話生物関連のオーパーツも、300人委員会はいくつか保有している。ゆえに、その手のアイテムを所有しているからといって、上が、そのまま、君の話を、すんなり信じるかといえば……微妙なところだ。信じる者もいるだろうが……懐疑的な者も半々といったところ。ゆえに会議が躍る……そんな光景が目に浮かぶ」
「マジかよ……そいつは想定外だぜ。300人委員会の会議現場に、このスタイルでカチコミをかけてやろうとか考えていたんだが……」
「信じる・信じないの前に……『それほどのオーパーツを個人が有しているのは危ない』という理由で、回収される恐れがある」
「ふざけ散らかした話だな……言っておくが、どんな理由があろうと、俺から毘沙門天を奪い取ろうとなんかしやがったら、キレて、暴れるぞ。アウターゴッドよりも先に、俺が世界を滅ぼしてしまうやも」
などと、シャレなのかガチなのか微妙なラインの戯言を口にしてから、
「つぅかよぉ……今夜、まさに、『アウターゴッド級の宇宙人』が、確定で、地球に侵略しにくるって言ってんのに……300人委員会様は、随分と呑気だな。アウターゴッドだぞ、アウターゴッド。……爺さん、アウターゴッド、知ってる? 降臨した段階で地球が終わるっていう邪神だぞ。『一回、撃退できた』って事実が、えげつない奇跡だってわかってる?」
「私は理解しているつもりだ。しかし、それほどの膨大な話だからこそ、上も、容易には信じられないのだろう。神話生物関連の問題は、これまでの歴史上、各地で何度か起きているが……これまでは、アウターゴッドはおろか、グレートオールドワンが飛来してきたことすら、今までは一度もなかった。いや、あるいは、一度もなかったと思い込まされているだけかもしれないが。……とにかく、現状は前代未聞。ゆえに、『信じたくない』という想いもあるのではないかとも思う。人間は弱いのだ。君のような強い人間には想像もつかないぐらい」




