69話 世界レベルの禁忌。不用意に、大いなる田中家の情報にアクセスしようとしたものは、国の上層部によって抹殺される恐れもある。
69話 世界レベルの禁忌。不用意に、大いなる田中家の情報にアクセスしようとしたものは、国の上層部によって抹殺される恐れもある。
「金戸先輩……あんたの爺さんの力を使って、その『田中トウシ』ってやつの住所を調べることとかできないか? 今のご時世、どうせ、教師に聞いても、個人情報がどうとか言って教えてくれないだろうからな……もう、権力に頼らせてもらう」
「承知しました。では、すぐにおじい様に要請を出しますので、少々お待ちください」
そう言って、電話を切ったウルア。
すぐに折り返してくるかと思ったが、
「……時間かかってんな……」
3分待っても、
5分待っても、
なかなか電話がかえってこない。
……結局、10分ほど経ってから電話が鳴った。
『時間がかかって申し訳ありません。先に結論を申し上げますが……どうやら、田中トウシの血族……【大いなる田中家】に関する情報は、世界レベルのトップシークレット扱いになっているようでして、300人委員会の上層部でも、容易に、アクセスできない模様です』
「……大いなる田中家? え? あいつの家、そんな風に言われてんの? あいつ、神話生物か何かなの?」
『詳しいことは不明なのですが……闇社会においては、かなりの重要ポジションに位置づけられている家系のようです。世界レベルの禁忌……不用意に、大いなる田中家の情報にアクセスしようとしたものは、国の上層部によって抹殺される恐れもあるとか……』
「……そんな、ゾルデ〇ック家的なポジションだったとは、流石に思っていなかったな……」
『おじい様なら、アクセスすることができるようなのですが……たとえ、おじいさまの本気の申請であったとしても、承認されるまで、最低でも数日はかかる模様です』
「300人委員会のメンバーでも、すぐには住所を調べられないぐらいの全世界規模最高機密か……あのクソ野郎、遠距離から、家柄だけで、鬼のようなマウント取ってきやがって……なんだ、その厨二力の高いバックボーン。……あいつは、どれだけ、俺に敗北感を与えたら気がすむんだ……」
深いため息とともに、
そうつぶやいてから、
センは、ウルアに、
「悪いが、あんたのジジイと話したい。今すぐ会えるか?」
「一般人が、おじい様と面会しようとすると、よほど『位の高い人物』であっても、最低一週間以上は必要ですが……世界の救世主である『あなた様の要求』なら、間違いなく通るでしょう。もし、拒むようであれば、私が、おじい様の顔面に拳を叩き込んで、道理というものを教えてさしあげます」
「お嬢様とは思えない発言だな。ちょっと面白かったぜ」
「すぐに車を向かわせますので、現在地を教えていただけますか?」
★
プラチナでも塗りたくったのかってほど、ギンピカ白塗りのロールスロイスに揺られて、
たどり着いたのは、高級住宅地のど真ん中。
日本家屋の超豪邸。
無駄にでかい門を抜けて、中に入る。
家の中は、時代劇の城の中みたいになっていた。
客間に通されたセンは、座布団の上で、あぐらをかいて、
ウルアの爺さんが来るのを待つ。




