61話 この私を召喚するとは……この星の人類は、極めて愚かであると言わざるをえないな。この私を迎えた星は……もれなく焦土と化す。
61話 この私を召喚するとは……この星の人類は、極めて愚かであると言わざるをえないな。この私を迎えた星は……もれなく焦土と化す。
何かが歪むような音が二つ、重なって響いた。反射的に、センたちの視線が注がれる。視線の先にある空間が、ギチギチに軋んだ。軋みは二つ。
「……ふぅ……」
「……ふしゅぅ……」
二つの軋みの奥から、人型の怪物が一体ずつ登場。強大なエネルギーを放つ化け物が、合計2体。
一体は、エヴ〇初号機みたいなヌルガリヒョロっとした人型の怪物。
一体は、武闘家みたいな恰好で、頭だけトカゲの人型怪物。
どちらも、サイズは、2メートル前後。
威圧感もサイズも、そこそこ。
そんな二体を目の当りにしたセンは、
(……よし、こいつら、GOO級だ。二体いるのはダルいが、アウターゴッド級を相手にするより、全然マシ)
と、心の中でつぶやきながら、グっと拳を握りしめる。
いつ襲い掛かってきても対応できるように、
センが、心と体を整えて、構えていると、
――そこで、エヴ〇初号機みたいな方の宇宙人が、
天を仰ぎ、微笑みながら、
「この私を召喚するとは……この星の人類は、極めて愚かであると言わざるをえないな。この私を迎えた星は……もれなく焦土と化す」
と、強者感たっぷりに、そう言いながら、
隣にいる、トカゲ頭に、
「一応、聞いておこう。違うとは思うが、ファロールよ。私を呼んだのは貴様か?」
「もちろん、違う。私が貴様を呼ぶ理由など皆無」
「だろうな。分かっていたさ」
「コスよ……そういう貴様はどうなんだ? 私を呼んだのは貴様か?」
「もちろん、違うとも。おそらく、我々を呼んだのは、あそこにいる脆弱な人間どもだろう。くく……おろかなことだ。何が目的か知らんが、我々を――」
と、そこで、『コス』と呼ばれたエヴ〇初号機が、
スっと視線を下げて、センの顔をしっかりと二つの眼球でとらえた。
その瞬間、
「うぁああああああああああああああああああああああああああっっ!!」
と、ばかでかい悲鳴をあげて、
「ファロール!! 逃げるぞ!! 急げぇええ!!」
「は? こ、コス……いったい――」
「逃げるんだ! あれは『センエース』だ!!」
「せん……え? なんだ? あそこにいる者も、グレートオールドワンなのか?」
「いいから、逃げるぞぉ!!」
コスはそう叫ぶと、
右手で、ワープゲートを出現させ、
左手で、ファロールの首根っこを掴み、
そのまま、落ちるように、二人で、
ワープゲートをくぐっていく。
二人の姿が消えると同時、
ワープゲートも、シュインと音を立てて霧散した。
……そんなGOOたちの様子をポカンと見ているばかりのセンたち一行。
何が起きたのか分からず、立ち尽くすばかり。
★
異次元空間に逃げ込んだコスは、
「はぁ……はぁ……はぁ……」
と、両手を膝につき、
汗だくの顔で、何度も息をつく。
そんなコスに、ファロールが、
「どういうことだ、コス。いい加減、説明をしろ。センエースとはなんだ。さっきのあいつは人間にしか見えなかったぞ」




