58話 アイテムが買えない現状、お前も、金戸先輩も、余裕で、ただの足手まといだから、今日も、夜は、家に帰って、のんびりミルクでものんでいやがれ。
58話 アイテムが買えない現状、お前も、金戸先輩も、余裕で、ただの足手まといだから、今日も、夜は、家に帰って、のんびりミルクでものんでいやがれ。
ズゥーンっと、けだるく、重く、硬質になっていく、輝木のオーラ。彼女が、なぜ、そうなってしまうのか分からないセンは、
「俺、今、変なこと言った? 個人的には、おふざけゼロだったんだけど、どこか気に食わなかった?」
と、おそるおそるたずねていく。
それに対し、輝木は、
色々と言いたいことがあったものの、
しかし、そのどれもが、
口に出してしまうと問題があるものばかりだったので、
悩んだ末、結果的に、
「……別に」
と、奇しくも、狙っているわけではなく、
つい、とっさに、
ファントム的な返しをしてしまう輝木。
こうなってくると、さすがのセンさんも、パニック。
ふざけていいのか、それとも、ふざけちゃいけないのか、
どっちなのか、さっぱり分からなくなって頭がショートしそう。
と、そんな、複雑な時間が流れている途中で、
扉がガっと開き、
『久剣一美』が、屋上に出てきた。
久剣は、センと輝木の姿を発見すると、
ズカズカと近寄ってきて、
「昨日はお疲れ様」
と、まずは挨拶をしてきた。
……ちなみに、昨日の夜のうちに、
輝木が、久剣に、『何があったのかの、ざっくりとした報告』はすませている。
赤高の高校三年生女子『金戸ウルア』が参戦したこと。
今のセンだと、GOO級なら倒せること。
GOOは回収され、ポイントは入らなかったこと。
輝木が変身暴走したが、どうにか抑え込んだこと。
まだ、アイテムショップはメンテ中だということ。
輝木の報告によって、おおよそのことを理解している久剣は、
センに、
「ポイントはもらえない。アイテムも買えない。……この状況がずっと続くのは……まずいわね。これじゃあ、ほんとうに、いつまでたっても、何もできない……」
と、青い顔で、そうつぶやく。
そんな彼女に、センが、
「アイテムが買えない現状、お前も、金戸先輩も、余裕で、ただの足手まといだから、今日も、夜は、家に帰って、のんびりミルクでものんでいやがれ。俺の邪魔をせんようになぁ」
と、思わず反射的に口にした直後、
ハっと気づいて、輝木の顔色をうかがうセン。
だが、輝木は、別に、何か特別な反応はしておらず、
顔色をうかがってくるセンに、
「別に、言論全部に文句を言う気なんてありませんよぉ」
センが勘違いしているのを踏まえた上で、
そんな風に、やんわりと、
ファントムトークを禁止する意志はないことを伝えていく。
ホッとしているセンに、
久剣が、
「他力本願で悪いけれど……できれば、今夜の宇宙人は倒して、ポイントを獲得してほしい。GOO級を倒したポイントなら、少なくとも100……普通に考えて、500とか1000とかになるはず。それだけのポイントでアイテムを買いそろえることができれば、私たちでも、多少は戦力になると思う。なんの協力もできない現状は……精神的にしんどいから、どうにか、お願い」




