56話 許されるなら『女の連絡先は全部消して。母親や姉であっても関係ない。女は全部消して。なんだったら、男も全部消して』と言いたいぐらい。
56話 許されるなら『女の連絡先は全部消して。母親や姉であっても関係ない。女は全部消して。なんだったら、男も全部消して』と言いたいぐらい。
センは、反町のように、『輝木の殺人鬼力』を恐れているのではない。センは、自分が、輝木の何が、こんなに恐ろしいのか、理解できていない。
――ちなみに、輝木は、センが、ウルアのことを『巨乳で美人』と表現したことが、とにかく、全力で気に入らないから、にらみつけている。
……センは、反町に、『それとなく、宇宙人戦争の現状を伝えること』しか考えておらず、その中の『いわゆる一つの茶目っ気』・『いつもの病気の延長』として、
ウルアの事を、セン的に、一番面白おかしく伝えようと、
『巨乳で美人のJKキャバ嬢』と呼称した。
……あくまでも、それだけに過ぎない。
いわば、冗談の一種。
シャレの一環でしかない。
……ということを、輝木も、ある程度は理解している。
センの言動の裏にある『配慮』みたいなものが、輝木には、ある程度、理解できている。
……だが、理解できているかどうかと、感情が許容できるかどうかは別問題。
輝木の視点で言えば、
ほかの女を話題にしてほしくもないし、
……仮に、他の女を話題にするにしても、
美人だの、巨乳だの、そんな誉め言葉を使ってほしくない。
えげつないぐらいの嫉妬心と独占欲。
狂気的なメンヘラ、バグったような依存心。
――許されるなら『女の連絡先は全部消して。母親や姉であっても関係ない。女は全部消して。なんだったら、男も全部消して』と言いたいぐらい、輝木は、センに対して、歪んだ感情を抱き散らかしている。
精神力がハンパないので、
鬼メンヘラでありながら、
それを、全力で表には出すようなことはしないが、
できることなら、この世に存在する全ての女……いっそ男も、
全部殺して、二人きりになりたいと考えている。
産まれながらの『殺人鬼気質』に、
後天的(運命的)な『メンヘラ気質』が複雑に絡まり合って、
輝木の『殺意』は、三段階ほど高次の概念へと至った。
そんな彼女の『厄介さ』の本質を、
センは、まったく理解していないが、
『輝木がやべぇ』ということだけは理解できているので、
「お、おちつけ、輝木。わかった……話を聞こう。……いや、聞かなくても分かっている。俺が、あまりにふざけすぎだって言いたいんだろ? オーライ。非礼を詫びよう。すまなかったな、輝木さん」
輝木のヤバさしか理解できていないセンは、
見当違いの反省を試みる。
「自覚はあるんだ。俺は病気だ。これはもう仕方がない……仕方ない……が、ここ最近、自分の病気に甘えていたのも事実。病気だからって何をしてもいいってわけじゃないよな。ああ。お前が怒るのも無理はない。『状況が状況なんだから、もっとまじめにやれよ』っていう、お前のメッセージは、骨身にしみた。今後は、なるべく、自分の病気を……抑えられないかもしれないが、なるべく、抑え込む方向性で思案していきたいと考えている」
本日の残りは午後に投稿します(*´▽`*)




