47話 人類が有する『醜悪さ』を『凶悪な合理』でねじ伏せ付き従えさせている『世界最高位の悪魔』。
47話 人類が有する『醜悪さ』を『凶悪な合理』でねじ伏せ付き従えさせている『世界最高位の悪魔』。
「もし、『俺単騎でアウターゴッドの相手をしないといけない地獄状態』が続いたら、普通に、途中で、俺のスタミナがつきて、人類が終わる。そうならないように、お祈りでもしているんだな」
「……やはり、あなた様は、私が思った通りの御人でした。あなた様は――」
「とんでもないイカれた変態で、近づかない方が身のためだって? その予想はドンピシャで的中だ。俺に触れたら、闇の炎に抱かれて、低温火傷するぜ。俺が何を言っているかわかるか? もし分かったら、人として終わりだから気をつけろ」
そんなセンの、終わっている戯言をシカトして、
ウルアは、しっとりと紅潮した顔で、
「あなた様は、人類の頂点に立つべき御方。絶対的な指導者として、命のすべてを導いていただきたい」
「い~いボケだぜ。センスを感じる、メタリックソリッドなイタリアンジョーク。俺はお前を認めたね。95点。いい地下芸人になりなよ」
「私の祖父は、300人委員会で重役についております。私もいずれは、300人委員会に名を連ね、この世界を陰から導いていく所存でした。指導者としての器は、机上の勉強だけでは育たないと思い、社会見学の一環として、おじい様のコネを使い、色々な現場を体験してきたのです」
「……だから、蝉原の店で働いていましたって?」
「はい。祖父は、オーナーと……蝉原勇吾と、つながりがあったので。祖父からは『いずれ、蝉原勇吾も、300人委員会のメンバーになるだろうから、近くで手腕を見てこい』とも言われました。人類が有する『醜悪さ』を『凶悪な合理』でねじ伏せ付き従えさせている『世界最高位の悪魔』……そんな彼の元で、人の穢れを知れ、と」
「すげぇな、蝉原。評価のされ方がえぐいね。さすが俺とは格が違った。……まあ、それはそれとして……『そんな奇妙な荷物を抱えて、ああいう店で働く女』は、あんたぐらいだろうな。てか、300人委員会ってマジであるんだ……だいぶ信憑性の低い都市伝説だと思っていた……ネッシーやツチノコと同じぐらいのマユツバに思っていたぜ」
「私は、自らの器を徹底的に磨き上げ、いずれは、300人委員会の頂点に立ち、争いのない平和で平等な世界を実現しようと思っておりました……が……その役目は、あなた様こそがふさわしい」
「俺にふさわしいのは、ゴミ係の帰宅部だ。生徒会長や裏番の役目は、あまりに荷が重い。そういうのは、蝉原に任せるよ」
「蝉原勇吾は死んでしまったのでしょう?」
「デスガンに魂が宿っているって言っただろ。蘇生させる方法は、今のところ、わかっていないが……宇宙人だの、神だの、魔法だの、魂だけ銃に乗り移るだの……これだけ、何でもありのトンデモキテレツ摩訶不思議アドベンチャーが巻き起こってんだから、探せば、ドラゴ〇ボールも見つかって、死んだ連中を全員生き返らせることもでき……なくはないだろうぜ。絶対ではないけどな」




