45話 ガタノトーアDは、いい塩梅のGOOだったが、昨日のウムルDみたいな『アウターゴッド級』が相手だと、時間を稼ぐことしか出来ない。
本日の2話目です。
45話 ガタノトーアDは、いい塩梅のGOOだったが、昨日のウムルDみたいな『アウターゴッド級』が相手だと、時間を稼ぐことしか出来ない。
「好きにすればいい。無抵抗を貫いた場合、ただ人類が滅びるだけの話。私は困らない」
「……この糞がぁ……」
「それと、もう一つ報告がある。まだ、アイテムショップのメンテナンス中であるため、アイテムの購入はできない。メンテがあけるまで、しばらくお待ちください」
「……これから質問するけど、『質問は許可しない』って言ったら殺す。それを踏まえて、俺の問いを真摯に受け止めろ。――メンテはいつあけるんだ、このやろう」
「質問は許可しない。貴様らは、ただゲームに参加するだけ。クリアできれば生き残ることができるが、失敗すれば死ぬ。それだけだ」
「今、正式に決まった。てめぇは死ぬ。俺の手によって殺される。未来が、今、正式に確定した。震えて眠れ。俺の怒りをナメるなよ」
★
――ショデソウとの舌戦を終えたあとで、
センは、輝木を保健室まで運び、ベットに寝かせる。
センは、輝木の介抱をしている間に、
ウルアへ、現状に関する説明をしておいた。
この東高校で、毎夜、宇宙人と戦っていること。
ショデソウがデスゲームの主催者みたいなものであること。
本来であれば、GA〇TZのように、
『宇宙人を倒したポイントで、武器を買えるシステム』があること。
蝉原は宇宙人に殺されて死んだこと。
なのに、なぜか、デスガンに魂が宿って、おしゃべりだけは出来ていること。
――最低限の説明を一通り受け終わり、
輝木の介抱も終わって、一息ついたところで、
ウルアが、
「改めて、お礼を申し上げます。あなた様のおかげで、私は……私だけではありませんね。世界の全てが救われました。ありがとうございます」
そう言いながら、床に膝をつき、膝の前で手をハの字に置き、
手の平全体を床につけて、しなやかに、深いお辞儀をしてみせた。
ポーズ的には土下座に近いが、そんな卑屈さは一切感じない、気品のあるお辞儀。
だからこそ、センも、『土下座をさせている』という感覚は持たず、
普通に、『お嬢様から丁寧にごあいさつをされた』、という印象だけに終始した。
ゆえに、頭を上げることを、特に強く求めたりはせず、
「丁寧なお辞儀、痛み入るが……現状だと、世界を救ったとは言えねぇよ。今回のガタノトーアDは、今の俺がちょうど殺せるぐらいの、いい塩梅のGOOだったが……昨日のウムルDみたいな『アウターゴッド級』が相手だと、時間を稼ぐことしか出来ない。言うまでもなく、俺の体力も精神力も無限じゃねぇから、尽きたら終わる」
他者の視点では無限に思えるセンエースの心身スタミナ。
だが、それは、そう見せているだけのハッタリであって、
ちゃんと、リミットは存在する。
センがそう思っているだけではなく、
事実として、リミットは確かにある。
……とはいえ、まあ、極限状態の瀬戸際に立つと、
そのリミットが、末期の宇宙みたいに、どんどん膨張していくのも事実ではあるが。




