44話 自由になるの。
今日も遅くなる可能性があるので、
朝に2話投稿します。
本日の1話目です。
44話 自由になるの。
「――絶華・逆気閃拳っっ!!!!!」
渾身の一撃を、輝木の腹部に叩き込む。ギニリ、グニャリと、輝木の全部が、龍の巣みたいな、地獄の嵐になっていく。
「う、ぁあああああああああああああああああああ!!!!!」
すべてが、たった一つの螺旋になって、
深甚なる精髄を合わせ呑んでいく。
至誠を尽くしたコトワリだけで、
今の全部を包み込む。
そうやって、空っぽになって、
狂って、終わって、ラリって、
削り取って、みだらになって、
それで……しかして……だから……少しだけ……
――自由になるの。
「げほっ……ごぼぉぉおおおおっっっっっ……ぶはぁああああああああああああああああああああああっっっっ!!」
これまでに吐いてきた大量の血液の、
さらに数倍にのぼる量の血を吐いていく輝木。
眼球結膜が漆黒から純白に変わる。
血気が抜けて、変身も溶ける。
邪悪さのメルト。
心まで溶けてしまいそう。
「……ぁ……ぁあ……」
倒れこみそうになる輝木を、
センは、ソっと抱きとめて、
「頑張ったじゃねぇか。褒めてやるよ。……俺に褒められたって嬉しくもなんともないだろうが……俺は滅多に他人をほめねぇから、レアな勲章にはなる。日本人なら好きだろ、限定品。ちなみに、俺はあんまり好きじゃねぇ。ブランドに踊らされるのはプライド的に許せないから」
相変わらずアホなことをのたまっているセンの腕の中で、
輝木は、心底嬉しそうに幸福そうに意識を失った。
――と、ちょうど、そのタイミングで、
空中に、エアウィンドウが出現し、
映し出されたショデソウが、
「……ガタノトーアDを撃退してみせるとは恐れ入った。見事だ」
と、いつも通り、AI的・機械的に、淡々とそう言う。
続けて、
「ガタノトーアDは、トドメを刺される前に、こちら側によって回収されているため、ポイントは入らないが、ガタノトーアDほどの強大な宇宙人を、瀕死においやったことは驚嘆に値する」
その発言を受けて、
センは、先ほど、ガタノトーアDが寝転がっていた場所に視線を送る。
すると、確かに、ガタノトーアDの姿が消えていた。
センは、こめかみに怒りマークを浮かべて、
「なんで、回収してんだよ。『あと一発で殺せる』ってところまで追いつめた、この俺様の労力を、なんと心得る! 最悪、回収するのは、別にいいけど、それで、なんで、ポイントが入らないなんてことになるんだよ。おかしいだろ! 『逃亡されたからポイントなし』ってんなら、まだ100歩ゆずって、意味がわかるが、『回収したからポイントなし』は、マジで、ただの理不尽! そんなことするなら、もう闘わねぇぞ!」
「好きにすればいい。無抵抗を貫いた場合、ただ人類が滅びるだけの話。私は困らない」
「……この糞がぁ……」
「それと、もう一つ報告がある。まだ、アイテムショップのメンテナンス中であるため、アイテムの購入はできない。メンテがあけるまで、しばらくお待ちください」




