41話 お前を守るためだけに、疲労感を背負うのは割に合わない。というわけで、死んでくれ。俺の疲労感は、お前の命より重いっ。
41話 お前を守るためだけに、疲労感を背負うのは割に合わない。というわけで、死んでくれ。俺の疲労感は、お前の命より重いっ。
完全に自我失って暴走している輝木は、
「うぁあああああああああああああああああ!!」
さらに、魔力とオーラをひねり上げ、その全てを両手に結集させていく。
膨大なパワーで、また異次元砲を撃とうとする輝木。
――そんな彼女を見つめながら、
センは、
「……そんなに、この女を殺したいのか?」
と、そう言いつつ、一度、チラっと、ウルアを見てから、
視線を輝木に戻すと、
「じゃあ、好きにしてくれ。別に、こいつが死のうが生きようが、どうでもいいし」
そう言いながら、
センは、少し横にズレて、射線を開ける。
その一連の動きを見て、
ウルアが、
「ぇ……あ……」
と、不安げにうろたえているが、
センは、彼女の狼狽をガン無視して、
「輝木……お前、さっき、『俺が止めると思った』から撃っただろ」
「……」
「でも、もう止めねぇぞ。さあ、撃ってみろよ。殺したいんだろ? 殺せよ」
その言葉に、ウルアが、少し驚いた顔で、
「あ、あの閃さん……」
「てめぇは用済みだ、金戸ウルア。だいぶ、いい体してっから、せめて、一回ぐらいヤリたかったが……こうなってしまえば、仕方がない」
「……」
「今の輝木の一撃は、キャンセル技のオメガバスティオンじゃなきゃ防げねぇが、あのオメガバスティオンって技は、疲労がえぐい技でな。50メートルダッシュ10本分に相当するしんどさを感じてしまう。お前を守るためだけに、その疲労感を背負うのは……割に合わない。というわけで、死んでくれ。俺の疲労感は、お前の命より重いっ」
「……」
「そんな顔すんなよ。高確率で死ぬだろうけど……死なない可能性もあるぜ。輝木が、自分自身に勝てば、お前は生き残る」
「……」
そこで、センは、輝木に視線を全集中させて、
「輝木トト詠……俺は、別に、お前の家庭環境に詳しいわけじゃねぇが……お前が、これまで、必死こいて、自分に勝ってきたってのは分かる。なんで分かるか、分かるか? 俺も同じだからだよ。ずっと、自分に勝ってきた。『クソカスキチ〇イスーパー天才ゴミ野郎』のせいで、一回だけ負けたが……基本的には、自分の弱さに勝ち続けてきた。だから分かる。てめぇの強さ」
そんなセンの言葉に、
輝木は、グっと奥歯をかみしめた。
ほぼ完全と言っていいほど自我を失っていながら、
まだ、輝木は、自分の弱さに抗っている。
――それが、分かったから、
余計に、センは、
「お前が今、陥っている状況に関しても……お前の家庭環境同様、俺は何も知らない。何も理解していない。今の俺は、何が何だか分からず、あたふたしているだけのクソモブカス野郎に過ぎない……が……」
そこで、センは、毘沙門天を自身の周囲に展開させつつ、
「もし、お前が……その期に及んでまだ、自分自身の弱さに抗い続けるというのであれば……」
ゆっくりと、思う限りの武を構えて、
「……今日だけは……お前だけのヒーローになってやる」
今週土曜日、どうにか、自作コミカライズ版27話を配信できそうです!
少しでも、楽しみに思ってもらえたら嬉しいです(*´▽`*)




