39話 ずっと言おうと思っていたのですが、あの人の下の名前はエースと読むのですよ。センイチバンではなく、センエースと読むんです。
39話 ずっと言おうと思っていたのですが、あの人の下の名前はエースと読むのですよ。センイチバンではなく、センエースと読むんです。
「あの人のことは……確かに、凄い人だと思います。……ただ、私、悪人は嫌いでして……生理的に、絶対にムリなんですよ」
「センイチバンもだいぶ、ヤバイでしょぉ。悪人といって差し支えないと思いますよぉ……ほら、見てくださいよぉ。宇宙人の臓物で遊んでますよぉ……やばいでしょぉ」
「あの……ずっと言おうと思っていたのですが……あの人の下の名前はエースと読むのですよ。センイチバンではなく、センエースと読むんです。……読み方に、かなりクセがあるんです。おかしいですよね。けど、私は、そういうところも、可愛くて気に入っています」
……そのセリフで、
輝木の頭がブチっと千切れた。
「うぅ……」
知ってか知らずか、
ウルアは、輝木に対して、
完璧な最悪手を打った。
あろうことか、輝木に対し、
『私の方がセンエースという男を理解しているマウント』を取ってしまった。
それはいけない。
それだけは許されない。
「うぃいい……」
――輝木を本気でキレさせるのは、かなり難しい。
『精神コントロール』が『人外の領域』に達している怪物、輝木トト詠。
センエース関連以外で、彼女をキレさせることは、ほぼ不可能に等しい。
センエースが関係していたとしても、
よほどのことがない限り、
ガチでブチ切れるということはないだろう。
あるとしたら、
『センがマジで死ぬかもしれない瞬間を目の当りにした時』か、
「ぃいいい……さっ……」
……『今』ぐらい。
「殺戮神化ぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
膨れ上がる、輝木の全て。
約束神化の時よりも、暴力に関するパラメータが、だいぶ高く仕上がっているのが、その変身姿から見て取れた。
『禍々しい死』に包まれているかのような姿。
目の白い部分……眼球結膜が、全て真っ黒&真っ赤に染まる。
輝木が暴走変身したことで、
「ウギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア! 殺す、殺す、殺すぅうううううううううううう!! 絶対に、許さなぁああああああああああああああああああああああああああああああい!」
輝木の様子がバグっていることに、
ようやく気付いたセン。
ガタノトーアDにとどめを刺そうとしたタイミングだったのだが、
(え……なに? どういう状況? なんで、輝木、あんなことになってんの? ……あれって、絶対に、『金戸ウルアを守るため』に変身したんじゃねぇよな? だって、殺すって叫び続けているし……つぅか、殺戮神化って何? あいつ、変身パターン、いくつ持ってんの……?)




