37話 本音を言えば、この世に存在する、すべての『男を見る目があるまともな女』には、もれなく、すぐさま、全滅して欲しいと願っていますぅ。
37話 本音を言えば、この世に存在する、すべての『男を見る目があるまともな女』には、もれなく、すぐさま、全滅して欲しいと願っていますぅ。
センの暴走を、少し離れたところから見つめている、金戸ウルア。
――ウルアは、『センが闘っている間、ずっと、目の前で、盾役としてウルアを守ってくれている輝木』に、
「あ、あの……すこしよろしいでしょうか……?」
と、声をかける。
輝木は、センとガタノトーアDの闘いを見つめたまま、
背中で、
「なんですかぁ?」
と、ダルそうに、返事をする。
その、『敵意に近いけだるさ』を前に、
ウルアは、少々、気圧されたが、
「……ま、守ってくれて……ありがとうございます。このお礼は、後ほど、必ず――」
「汚物のような勘違いをしているようですからぁ、この場でハッキリと言っておきますねぇ」
「え?」
「私は、あなたを守る気なんて、一ミリたりともありませんよぉ。というか、普通に死んでほしいと思っていますねぇ。センイチバンに近づく女はキショいですからぁ。本音を言えば、この世に存在する、すべての『男を見る目があるまともな女』には、もれなく、すぐさま、全滅して欲しいと願っていますぅ」
「……」
「センイチバンから、あなたを守るようにとお願いされていなければ、この手で殺していたと思いますよぉ。私、これまで、なるべく、人を殺さないように、頑張って生きてきましたけどぉ……あなただったら殺してもいいかなぁって、ちょっと思っているんですよねぇ」
「……ど、どうして……私は、あなたに対して、何も敵対行動はとっていないのですが……守ってくださっていることに、感謝を申し上げただけで――」
「あなた、センイチバンに好意をもっているでしょぉ」
「……え、あ……は、はい、そうですね……あれほど魅力的な男性は、そうそういませんので……できれば、結婚を前提としたお付き合いをしたいと望んでおります。……そのための準備も、昨日から、おじい様にお願いして開始しております……が、それが何か?」
「まずいですねぇ……センイチバンから、この女を守ってほしいとお願いされているのに……このままだと、そのお願いを無視して殺してしまいますねぇ……どうしましょうねぇ……あ、これ、ほんとにまずいやつですねぇ……これまでの殺戮衝動とは比にならないぐらいの殺意の波動が……あ、やばい……本当にやばい……」
『全力で欲情している時のヒソカ・モ〇ウ』みたいな、
バチバチのヤバい顔をしている輝木。
彼女の本来の性質……『狂気のマッド殺人鬼』としての本質が、これでもかと、体表に浮かび上がっている。
これまで、ずっと、抑え込んでいた衝動。
ハンパない精神力で、生まれてから今日までの十数年、
ほぼ完璧といっていいレベルで制御してきたのに……
金戸ウルアに対しては、
これまでに守り続けてきたタガが、
冗談やシャレではなく、ガチで、はずれようとしている。
「ふぅ……ふぅ……ふぅ……」




