36話 どうやら、俺の毘沙門天の方が、血統が良かったらしい。アウターゴッド級の相手は無理だが、グレートオールドワン級が相手だと、どうにかなる。
36話 どうやら、俺の毘沙門天の方が、血統が良かったらしい。アウターゴッド級の相手は無理だが、グレートオールドワン級が相手だと、どうにかなる。
「方向性を変えた別アレンジで、3パターンほどもらえますかぁあ?! 締め切りは3秒後でぇええ!」
――こんなクソ上司の糞リテイクをくらったら、どれだけやる気のある社員でも、退職代行乱舞不可避だが、毘沙門天は、健気にも、センのパワハラに応えようと必死にもがく。
……その結果、
「ぐぬぅうう!」
ガタノトーアDの腹部に、でかい風穴を開けることに成功。
毘沙門天の剣たちは、ここがチャンスとばかりに、
ガタノトーアDの腹部に集結し、
大爆発を起こしながら大車輪。
ドガドガン、ギュンギュン、ザクザクッと、
ガタノトーアDの内部から、
ガタノトーアDの全部を燃やして、切り刻んで、グッチャグチャにしていく。
その様を見ながら、センは、
悪魔のように笑い、
「ふはははははぁああ! どうやら、俺の毘沙門天の方が、血統が良かったらしい! アウターゴッド級の相手は無理だが、グレートオールドワン級が相手だと、どうにかなるっぽいなぁ! 今の俺なら、てめぇを殺せる! 俺を敵に回してしまったことを後悔しながら、朽ち果てやがれぇええええ!!」
ズタズタになったガタノトーアDは、
どうにか、緊急飛翔や短距離転移を駆使しつつ、
毘沙門天から距離を取りながら、
肉体を高速回復させていく。
最高位グレートオールドワンの生命力は、大したもので、
あれだけ、毘沙門天でグチャグチャにされたのに、
ほんの数秒で、サクっと、全快してしまった。
それを見たセンは、
「……ちっ」
と、一度、舌打ちしたが、
「……生命力は、相当なものだ。だが、魔力とオーラには重さが足りないようだな。だいぶ削れているぜ。もう、2・3回、同じようにすりつぶせば、普通に死ぬよなぁ? くっくっく」
毘沙門天の性能は凄まじく、
装備している間は、簡易プロパティアイが使える状態にあるため、
ガタノトーアDの魔力やオーラや体力の残量が、
今のセンには、うっすらと見えている。
ガタノトーアDの見た目は完治しているが、
内包しているエネルギーは、普通に消耗している様子。
「きーっひっひっひっ! どうだ、ガタノトーアDさんよぉ! 俺が、怖いか?! 恐ろしいか?! うひゃひゃひゃひゃ! どれだけ、泣いて叫ぼうと、絶対に容赦せんぞ、この虫ケラめ! このまま、じわじわとなぶり殺しにして、最後には、盛大に、木っ端みじんにしてくれる! あの地球人のように!!」
正義のヒーローらしいセリフを叫んでから、
もう一度、毘沙門天を突撃させるセンエース。
どこからどう見ても、高潔な英雄です。
本当にありがとうございました。
――そんなセンの暴走を、
少し離れたところから見つめている、金戸ウルア。
ウルアは、
『センが闘っている間、ずっと、目の前で、盾役としてウルアを守ってくれている輝木』に、
「あ、あの……すこしよろしいでしょうか……?」
と、声をかける。




