35話 昨日のウムルとかいう糞は、別次元の強さだったが……てめぇなら、どうにかなる気がしなくもない今日このごろ、いかがお過ごしですか。
35話 昨日のウムルとかいう糞は、別次元の強さだったが……てめぇなら、どうにかなる気がしなくもない今日このごろ、いかがお過ごしですか。
――ガタノトーアDの殺気を敏感に感じ取ったセンは、ほぼ反射的に、剣翼を展開させつつ、ウルアの盾になろうと、自身も、死の渦に飛び込む。ガタノトーアDの攻撃は、極めてシンプルな拳の特攻。
――その一撃を、センは、
「ドリームオーラ・オメガバスティオン!!」
無敵のキャンセルバリアで対応していく。
センエースが展開するバリアに、ガタノトーアDの拳が当たった瞬間、
ガタノトーアDの拳が発生させるはずだった『衝撃』や『圧力』といったエネルギーが、すべて綺麗に消失する。
自分の攻撃を無効化されたガタノトーアDは、
自身の拳と、センエースの目を、何度か交互に見つめてから、
「……こいつは本当に、不思議な感覚だな……拳に集めたエネルギーだけが、一瞬のうちに、全て消失した……」
などとつぶやいているガタノトーアDから目をそらさずに、
センは、
「輝木! なんとか、変身できねぇか?!!」
「ごめんなさぁい……ずっと、やろうとしているんですけどぉ……」
「把握した! もし、変身できたら、そこの金戸ウルアパイセンを守ってくれ! この宇宙人の相手は俺がやる!」
そう叫んでから、
バッと飛び出して、
「昨日のウムルとかいう糞は、別次元の強さだったが……てめぇなら、どうにかなる気がしなくもない今日このごろ、いかがお過ごしですかぁああああああああああああああああ!!」
抑揚の強いファントムを叫び散らかしながら、
センは、毘沙門天を盛大に運用して、
ガタノトーアDに猛攻撃をしかける。
「限界を超えて舞え!! 毘沙門天!!」
命令に従い、リミットを無視したビースト暴走を開始する毘沙門天。
ヒュンヒュンギュギュン!!
と、爆裂な音を響かせながら、
8本ある剣が、空中のあっちこっちを飛翔しつつ、
それぞれが、独立して、ガタノトーアDに攻撃をしかける。
センは、アグレッシブな指揮者のように、
右手でつかんでいる蝉原デスガンを、タクトのように、
グワングワンと、上下左右にはためかせながら、
「まだだぁあああああああああああああああ! もっと…もっと…もっとよこせ毘沙門天!!!!!!!!」
毘沙門天にパワハラ重労働を課していく。
「もっとビビッドに! もっとアーティスティックに! 違う! もっと、こう、なんていうかなぁ、わかんないかなぁ! だから、こう、もっとギューンって感じで! そうじゃなくてさぁ! わかんないやつだなぁ! それも悪くないけど、もう一歩踏み込んで、お前の新しい可能性を見せてほしいのよ! というわけで、方向性を変えた別アレンジで、3パターンほどもらえますかぁあ?! 締め切りは3秒後でぇええ!」
――こんなクソ上司の糞リテイクをくらったら、
どれだけやる気のある社員でも、退職代行乱舞不可避だが、
毘沙門天は、健気にも、センのパワハラに応えようと必死にもがく。




