34話 まったく、早とちりしやがって。これだから、勘のニブいガキは嫌いだよ。もっと、察していこうぜ、色々と。そうすりゃ、直訳で歌えもしよう。
34話 まったく、早とちりしやがって。これだから、勘のニブいガキは嫌いだよ。もっと、察していこうぜ、色々と。そうすりゃ、直訳で歌えもしよう。
「あんた、高校生だったのか? それ、赤高の制服だろ? 俺、赤高の制服にだけは詳しいんだ。いわゆる一つの劣等感ってやつだな。決して変態的な意味ではないぞ。まあ、別に変態的な意味でとらえてもらっても何ら困りはしないけどな。俺が特異的な変態であることは事実だから」
この前のきらびやかなドレスとは打って変わり、
今のウルアは、パッキパキの制服姿。
コスプレとは思えないガチンコの女子高生のオーラを纏っていた。
「え、あ、はい……そうなんです。高校三年生で……一応18歳は超えているのですが……本来ですと、在学中は、もちろん、ああいう夜系のお店では働けないのですが……色々と、祖父に手をまわしてもらって……」
そんなことを話している場合ではないはずなのだが、
混乱しているのか、しなくていい細かな説明を繰り出すウルア。
すると、そこで、輝木が、
ギッチギチの目で、センをにらみつけ、
「夜系のお店って……どういうことですかぁ?」
そこで、センは、
なぜかバクバクしている心臓を、
精神力だけでおさえつけ、
――あえて、表情を殺し、
「コンビニは夜中ぶっ通しだろ? カラオケとか、ラウンド〇ンとか、あの辺も、深夜帯があるだろうが。まったく、早とちりしやがって。これだから、勘のニブいガキは嫌いだよ。もっと、察していこうぜ、色々と。そうすりゃ、直訳で歌えもしよう」
と、『それなりの量の冷や汗』を浮かべつつ、
なんとか、平常心ぶって、
いつもどおり、ワケの分からん受け答えをするセン。
――そこで、
ブブ……
と、何かが歪むような音が響いた。
反射的に、センたちの視線が注がれる。
視線の先にある空間が、ギチギチに軋んだ。
その軋みは、徐々に具現化し、空間に切れ目として正式に顕現すると、
その奥から、
「……ふぅ……」
『人型』をしている『身長二メートルほどの化け物』が出現した。
ゾウのような長い鼻を持ち、全身が、鱗のようなものでおおわれている。
その化け物は、
「ふむ……なるほど……なるほど……了解した……それでは、これより、己の任務を全うする……」
などと、人語で、ボソっとつぶやくと、
軽く体を動かすストレッチをして、
ギラリと、ウルアを睨むと、
「私はガタノトーアD。最高位のグレートオールドワン。……貴様らを殲滅する者。……それでは……戦闘を開始する……」
宣言してから、
その化け物は、
ドウッっと、地面を蹴り上げて、
爆速で、ウルアとの距離をつめ、彼女に攻撃を仕掛けようとした。
――その殺気を敏感に感じ取ったセンは、
ほぼ反射的に、
「毘沙門天!!」
剣翼を展開させつつ、
ウルアの盾になろうと、
自身も、死の渦に飛び込む。
ガタノトーアDの攻撃は、極めてシンプルな拳の特攻。
その一撃を、センは、
「ドリームオーラ・オメガバスティオン!!」
無敵のキャンセルバリアで対応していく。




