26話 私……昔から、ずっと思っているんですけどぉ……『トコ闇』が、私の『本当の名前』なんじゃないかなぁ、と思っているんですよねぇ。
26話 私……昔から、ずっと思っているんですけどぉ……『トコ闇』が、私の『本当の名前』なんじゃないかなぁ、と思っているんですよねぇ。
「どうせなら、最初からいきましょうかぁ。……私の名前なんですけどぉ……実は、私の親は、本当は、私に、『輝木トト詠』ではなく『輝木常闇』という名前をつけようとしていたらしいんですよぉ。どうやら、私の親は、『ミスターチ〇ドレン』みたいな感じの、『相反する意味を持つ名前』をつけたかったらしいんですぅ」
「……知らんがな……と言いたいところだが、全方位に色々と、バグっていて、なかなかおもろい話やないかい。……輝く常闇……なかなかいい厨二センスだ。褒めてつかわす」
「実際、書類には『輝木常闇』と書いて、役所に提出したらしいんですけどぉ、何かの手違いで、トト詠になってしまったらしいんですぅ。親のミスなのか、役人のミスなのか知りませんけど……どっちにしろ、あれ、受理されてしまったら、訂正するのは、結構面倒らしくて……なんだかんだ、結局、そのまま、『トト詠』に決まってしまった感じなんですよねぇ」
「役所って、そういうところあるよな。謎に頭かたくて、融通がきかない感じ……」
「……で、私……昔から、ずっと思っているんですけどぉ……『トコ闇』が、私の『本当の名前』なんじゃないかなぁ、と思っているんですよねぇ」
「……まあ、どう思っていただいても、結構でございますけど……」
「トコ闇が私の真実の名前で……かつ、トト詠って名前、だいぶ呪われている気がするんですよぉ。いや、トコ闇も、トコ闇で呪われてはいるんですけどぉ、それにトト詠の呪いがかぶさっている……みたいな感じですかねぇ。姓名判断的な、具体的な理由とかはないんですけどぉ……感覚的に、そう思うんですよぉ」
「……だから、好きに思っていればいいっつってんだろ。お前の『感覚だけの話』は、俺にとって、マジでどうでもいい。『昨日みた夢の話』ぐらい、どうでもいい」
「夢でいうと、私、よくみる夢があるんですよぉ」
「……え、夢で、話を広げる気? やめろ、やめろ。『昨日みた夢の話』ぐらい『生産性皆無なヨタ話』はないんだから。『お前が胸に抱いている大きな夢』の話とかなら、まだ意味的なものがなくもないかもしれんけど、寝ている時にみる夢の話は、マジで意味ない」
と、拒絶するのだが、
しかし、輝木は、ツラツラと続けて、
「私、幼少期から、頻繁に、同じ夢を見ていましてぇ……『禍々しい存在として生まれて、世界中の人間を、存在するだけで全滅させる夢』とかぁ……『生きていると虹色の神様を召喚してしまう呪いにかかっているから、自殺しなければいけない夢』とかぁ……」
「ずいぶんと電波な夢をみてやがんな。常に、あらゆる角度から、異常性を匂わせてくる、その強固かつストロングなスタイル。もはや、だんだん、おもろくなってきたぜ。……ちなみに、俺は、『ハシゴかなんかを使って高いところにのぼる夢』とかはよく見るぜ」




