25話 俺のボッチ力をナメんなよ。俺は常に孤高。唯一人で完成している完全なる個。そうでなくとも、根源的に、メシってのは一人で食すもの。
25話 俺のボッチ力をナメんなよ。俺は常に孤高。唯一人で完成している完全なる個。そうでなくとも、根源的に、メシってのは一人で食すもの。
――その日の夕方、保健室で、
久剣が、『ひとっ飛びして買ってきたコンビニ弁当』を、三人で食べていると、
……途中で、輝木が、
「今後も、ずっと、あなたの隣で、一緒にご飯を食べてもいいですかぁ?」
とトンチンカンなことを言ってきやがったので、
センは、呆れ交じりの溜息をつきつつ、
「ダメに決まってんだろ。俺のボッチ力をナメんなよ。俺は常に孤高。唯一人で完成している完全なる個。そうでなくとも、根源的に、メシってのは一人で食すもの。無知蒙昧な貴様に真理を教えてやる。耳をかっぽじれ。――モノを食べる時はね 誰にも邪魔されず、自由でなんというか、救われてなきゃあダメなんだ。独りで静かで豊かで……」
と、丁寧に断っていくが、
しかし、輝木は、センの言葉など完全にシカトで、
「料理はあまり得意とは言えませんがぁ、私、そこそこスペックが高いのでぇ、やれば人並以上にできると思うんですよねぇ」
「人の話、聞いてる?」
「あなたの話は、いつも、ちゃんと聞いていますよぉ。私は、あなたの話しか聞いていないと言っても過言ではありませんねぇ」
「また、ずいぶんと、おちょくったコトをのたまってくれやがるじゃねぇか。言っておくが、俺は他の連中みたいに、お前にビビってしり込みしたりしねぇぞ。なんせ、今の俺がその気になったら、お前の全身を、一瞬で、木っ端みじんにできるからな。まあ、変身されたら分からんけど……今は、お前、変身出来ないっぽいから、そこは考慮しねぇ」
「もちろんわかっていますよぉ。そして、あなたが絶対にそんなことをしないこともぉ。あなたは、弱者に暴力をふるえない」
「分かったような口をききやがって。お前、俺のナニ知ってんねん」
「ここ数日、一緒に時間を過ごしたことで、色々と分かってきましたけどぉ……まだよく分かりませんねぇ。なので、あなたのことを、もっとよく知りたいと思っていますぅ。それと同時に、私のことも、知ってほしいと思っていますぅ。なので、今後も、ずっと、一緒にご飯を食べながら、おしゃべりをしましょぉ」
「俺はセンエース。運命に牙をむく孤高の閃光。それ以外には何もない。で、お前のことは、別に知りたくない。――話は以上だ。黙って食べろ」
「私のこと、まずは、何から知ってもらいましょうかぁ……そうですねぇ……」
「聞いてる? 別に知りたくないって言ってんだけど。もしもーし、聞いてますかぁ?」
「どうせなら、最初からいきましょうかぁ。……私の名前なんですけどぉ……実は、私の親は、本当は、私に、『輝木トト詠』ではなく『輝木常闇』という名前をつけようとしていたらしいんですよぉ。どうやら、私の親は、『ミスターチ〇ドレン』みたいな感じの、『相反する意味を持つ名前』をつけたかったらしいんですぅ」




