14話 かつての『ウムル=ラト』が思い描いた『こんな悪魔に生まれ変わりたい』という『願い・祈り・欲望・怨念』を、ソルDがコアとして抽出し、『一人の第一アルファ人として具現化』させた存在。
14話 かつての『ウムル=ラト』が思い描いた『こんな悪魔に生まれ変わりたい』という『願い・祈り・欲望・怨念』を、ソルDがコアとして抽出し、『一人の第一アルファ人として具現化』させた存在。
「ぶびぃいい……げへぇえ……」
白目をむいて、その場に倒れこみ、止まらない鼻血で出血死しそうなセン。
そんなセンを見下ろしながら、ウムルDは、
「びょ……病気……っ」
心底から恐怖を感じている顔で、思わず、半歩、後退りをしてしまった。
アウターゴッドのSAN値にクリティカルを決め込む変態。
それが、舞い散る閃光センエース。
この世界で最もキチ〇イなヒーロー。
★
――認知の領域外で、
でかいエアウィンドウに表示されている『センとウムルDの闘い』を観察している、
『蝉原勇吾』とショデヒの二人。
ウムルDのSAN値を削っているセンを見て、
ショデヒは、右手で、口元を押さえ、
「き、キモすぎる……どうなっているんだ、あいつは……なぜ、あんなことができる……ど、どうして死なない……」
『センエース特有のキモさ』にビビリ散らかしているショデヒを横目に、
蝉原が、心の中で、
(……『ウムル=ラト』は、『俺の根源』で、『第一アルファの領域外に隔離されている神格の中だと、間違いなく最高位で、極めて有能な神格』だが……センエースの相手としては、流石に、役者不足がすぎる。軽いカマセが精々)
ソルD経由で取得した『ウムルの中核に触れるデータ』を確認しつつ、
(……『ウムル』という概念は、間違いなく『俺の根源』だから、『なんだかんだ、ある程度は頑張ってくれるかも』と、ちょっとは期待していたが……期待外れもいいところ。……いや、期待外れというほどじゃないが……『何とも言えない微妙な結果』に落ち着いたな……『この程度の雑魚』が、自分の根源だと思うと、正直、泣けてくるね)
『蝉原勇吾』という存在は、
『ウムル=ラトが夢見た悪魔』である。
より正確に言うのであれば、
――かつての『ウムル=ラト』が思い描いた『こんな悪魔に生まれ変わりたい』という『願い・祈り・欲望・怨念』を、ソルDがコアとして抽出し、『一人の第一アルファ人として具現化』させた存在。
(……今の俺の成長データを基盤として拡張できれば、もう少しマシになるんだけど……『清算したアリア・ギアス』が普通に足りないし……仮に、今、それが出来たとしても、セン君を殺すことはできない。絶対に)
ため息交じりに、心の中でつぶやいてから、
蝉原は、『第一アルファの領域外に隔離されている神格のデータ』を見つめつつ、
(……唯一、センくんとまともに戦える可能性があるのは……やっぱり『オメガ・ニャル』になるけれど……『覚醒していない第一アルファ』でオメガ・ニャルを出しても……まあ、普通に無理だろうなぁ。……ショデヒのバーチャルディメンションじゃ、『オメガ・ニャル』を完全開放することすら出来ないだろうし。……俺がいくら手を貸しても、ショデヒがゴミすぎて、どうしようもないな。……ショデヒに創れる絶望は、センくんからすれば、『ハナクソほじるぐらいの難易度』でしかない)




