7話 ウムルDの実力は、まぎれもなくアウターゴッド・クラス。現状のセンエースでは、ウムルDを倒すことなど絶対に出来ない。
7話 ウムルDの実力は、まぎれもなくアウターゴッド・クラス。現状のセンエースでは、ウムルDを倒すことなど絶対に出来ない。
『龍牙峰杏奈』『百目鬼烈也』『高橋隆一』――上記三名を『自身の身体の奥』へと取り込んでいる蝉原の横で、
ショデヒが、『圧倒的な力を持つウムルD』を見つめながら、
「素晴らしい。あれほどのアウターゴッドを、こんなにも早く召喚できるとは」
「……蝉原勇吾、貴様のスペックの高さには、心底から驚かされた。貴様はとんでもない邪神だ」
「ああ……まあ……これまでの永い神生の中で、それなりに、修羅場をくぐってきているからね」
ショデヒから、かなりの熱量で褒められているが、
しかし、蝉原は、心底どうでもよさそうに、サラっと流し、
「それで? 『オメガ・ニャル』の召喚準備の方はどう?」
「問題なく進めている……が、もう必要ないだろうな。オメガ・ニャルの出番はない。貴様のカスタムを受けた、あのウムルDの実力は、まぎれもなくアウターゴッド・クラス。現状のセンエースでは、ウムルDを倒すことなど絶対に出来ない。センエースはここで死ぬ。それで終わる」
「……『毘沙門天の剣翼を装備しているセンエース』を、あまり、甘くみない方がいいと思うけどね」
「完全なる『毘沙門天の剣翼』ではない。コアマテリアルの記憶データと、神字プログラムのマクロを部分的に回収されただけだ。その程度で、ウムルDに勝てるわけがない」
「普通なら、そうなんだけどねぇ」
そうつぶやきつつ、
蝉原は、ジっとセンエースの動向を見つめていた。
そんな中、
エアウィンドウの向こうで、センが、
「毘沙門天!! 何度も言わすなよ!! 俺の全部を使っていいっつってんだろぉおおおお! 全部くれてやるから、とにかく、『そのクソを止めるために出来る全部』をぶちかませぇえええええ!!!!!!」
そう叫ぶと、
命令に従い、剣翼が、空中にジオメトリを形成していく。
それを見た蝉原は、
フっと、一度、鼻で笑って、
(詰んだな……もう、ウムルDではセンくんを殺せない)
と、心の中でつぶやいていると、
隣にいるショデヒが、
「あれは……集中力を増加させる領域か? この状況で、そんなものを出して、何がどうなるという? あいつはバカか?」
「センくんは、日常生活において、頻繁に悪手を打ちまくる、相当なおバカさんだけれど……この状況では、最善の一手を指したといって間違いないだろう。最善の一手……いや、神の一手かな……」
「蝉原勇吾……貴様、いったい、何を言っている?!」
「見ていれば分かるよ。もう、ウムルDは、何の役にも立たない」
「……?」
★
『剣翼によって展開されたジオメトリ』を見たウムルDは、
小首をかしげて、
「集中力を増大させる領域……と言ったところか。この状況で、そんなものを展開して、いったい、何になるという?」
そう問われたセンは、
ツーっと、鼻血を垂れ流しながら、
「……知らんよ……何になるかなんて……アホの俺に分かることなんて、何もねぇ……」




