1話 蝉原が死んだ今、人類の希望はお前だ、龍牙峰ぇええええ!! この中で一番強いお前が死んだら、マジで終わりぃいいいい!! 肝に銘じて死ぬ気で逃げろぉおお!
1話 蝉原が死んだ今、人類の希望はお前だ、龍牙峰ぇええええ!! この中で一番強いお前が死んだら、マジで終わりぃいいいい!! 肝に銘じて死ぬ気で逃げろぉおお!
「言っておくが、この程度の速度なら、避けることも容易い。『彼我の差を教えてやるために、あえて受け止めてやっただけだ』ということを理解しろ、虫ケラ」
そんなウムルDの上から発言に対して、センは、特に反応することなく、
「龍牙峰、逃げろ、ぼけぇええええええ! なに、ダラっと見てんだぁあああああ!」
龍牙峰たちは、この、『極限状態』にまったく適応できず、
オロオロすることすら出来ずに、
ただただ『何がなんだか分からない』という顔をして、
その場でたたずんでいた。
……ちなみに、実は、先ほど、蝉原が爆散した際、
ウムルDは、同時に、他のメンバーに対しても、逃がさないように、
『意識を薄弱にする系統の、心身を蝕む呪縛領域』を展開させていた。
……のだが、センは、ウムルDの繊細な魔法の展開など気づいていないので、
こめかみに、怒りマークを大量に浮かべ、
「聞いてんのか、カス、ごらぁあ! 蝉原が死んだ程度で、愕然としてんじゃねぇええええええ!」
ちなみに、センも、『ウムルDが展開している領域魔法の範囲内』にいるのだが、
元々の精神力がハンパないのと、現状アドレナリンバキバキ状態なので、
無自覚に完全無効化してしまっている。
『万力で締め付けられて、頭蓋骨ミシミシいっているけど、脳がキマりすぎていて痛くない』……みたいな感じ。
キチ〇イっ!
「いいか、おい! 蝉原が死んだ今、人類の希望はお前だ、龍牙峰ぇええええ!! この中で一番強いお前が死んだら、マジで終わりぃいいいい!! 肝に銘じて死ぬ気で逃げろぉおお!」
そう叫ぶと同時、
センは、
「毘沙門天!! もうこれで終わっていい!! だからぁあああ! ありったけをぉおおおおお!!」
自分の生命力を、剣翼に注いでいく。
『具体的にどうやって生命力を剣翼に注いでいるのか』……その辺の仕組み・システムみたいなものを、センは、まったく理解していないが、しかし、剣翼が頑張って、まるで、『長年連れ添った従順な執事長』のように、『センがやりたがっていること』を『実現』してくれている。
センの中で暴走する『キチ〇イエネルギー』を媒体にして、
剣翼は、さらに加速していく。
ギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュ!!
と、『構成しているパーツの全部が焼き切れてしまうんじゃないか』と不安になるほどの雄叫びをあげながら、
剣翼は、
どうにか、ウムルDの命を、少しでも削ろうと必死。
そんな剣翼の猛攻を、
ウムルDは、
「貴様らにも分かるように、今の私の状況を伝えよう」
ニタっと、小ばかにするように笑みを浮かべ、
「ちょっと大きなハエが数匹、ぶんぶんと周囲を飛んでいる……それだけだ」
そう言いながら、
軽く右手を払うと、センの剣翼が、
吹き飛ばされた紙飛行機みたいに、
ペイっと、簡単に吹っ飛ばされる。




