表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
510/5863

16話 手加減。


 16話 手加減。


 その無様な姿を見つめながら、ミシャは、


(あら……吹っ飛ばすつもりはなかったのに……うーん、ここ最近、『頭がおかしいバケモノ共(平とゾメガ)』としか闘っていなかったから、どうやら、『手加減』が少し下手になっているようね)


 心の中でブツブツ言いながら、瞬間移動で、ザザとの距離を詰めて、



(このぐらいなら……折れはしないわよね)



 さらに心の中でブツブツ言いながら、ザザの胸部を優しく踏みつける。


「ぐぅぉおお!!」


 当然のように、アバラが数本バキバキと逝った。

 噴水のように血を吐くザザを見下しながら、


(うーん、手加減が上手くても自慢にはならないけれど、『出来ないとなれば恥を背負う事になる』というのが問題なのよねぇ。万能であることが求められる上位者は辛いわ)


 ノンキにそんな事を考えつつ、左手をザザに向けて、


(流石に、これなら死なないでしょ)


 無詠唱で、『ランク5の闇弾』を放った。

 闇属性の魔弾で、火力はゴミだが、ランダムでデバフがかかる低級魔法。

 100%でデバフれるなら『そこそこ使える魔法』ともいえるが、その確率は10%ほどなので、たいした魔法ではない。


「ぐぅう! かはぁ!」


 流石に、闇弾ランク5程度では死なずに耐えたザザ。

 結果、デバフも入らず、ただちょっとダメージを与えただけ。


 ザザは、ギリっと奥歯をかみしめて、


「つ、強いな……身体能力もそうだが……それほどの魔法を無詠唱で使えるというのも……す、すべてが想定以上だ……しかし、俺が負けたのは、お前が俺の苦手な『魔法・カウンタータイプ』だったから……ホアノス様は、俺が苦手な相手に強い……お前は死ぬ」


 ザザが発言し終わったタイミングで、後方から、準備を整えていたホアノスが、


「ザザに勝つとは見事だ……セファイルのこじきとは思えん強さ。貴様は、間違いなく強者。各国の王族級とも言えるだろう。正直いって、貴様と敵対する事になってしまった事を後悔している……だが、ザザの奮闘で、貴様の底は見えた。私が負ける事はありえない」


 言いながら、ミシャに近づいていく。

 既に剣は抜いていて、オーラも練りあがっている。

 『熟練の戦士である』と一目で分かる威容。


「貴様は、しょせん、『耐久の低いザザ』を『殺しきれない程度の火力』しか持たないカウンター型。私のカモだ。『肉を切らせて骨を断つ戦法が信条』の私に『火力の低いカウンター』は意味がない」


 ホアノスは、クズだが、世界第二位の大国のトーン共和国の上位議員。

 純粋な『力』がモノをいう世界のトップ層にいる男。

 その存在値は62。

 この世界において、ホアノスに勝てる者はそうそういない。

 この世界では圧倒的強者。

 『ワガママ』が許される領域。


 だが、それは、ゼノリカの目が届いていない世界での話。

 ゼノリカは、歪んだワガママを許さない。



「ドーラとかいったな……その強さは貴重だ。今後、私のために尽くすのであれば慈悲をくれてやるが、どうする?」



「ドーラという名はただの偽名。忘れてくれていいわ」


「……ほう。では、本名は?」




「私は、果てなき神を愛する者。栄えあるゼノリカを支える三至天帝が一柱、邪幻至天帝ミシャンド/ラ」




「……神……狂信者……そうか、貴様、フーマーの東方出身者だな。なるほど、ならば、その強さも頷ける」


 東方の連中は、めったに公の場に出てこない。

 だから、当然、ホアノスの脳内重要人物データバンクにも記録が存在しない。


 だが、フーマーの東方にいる連中が『非常に優秀』であり『たまに、部族のしきたりか何かで表に出てくることもある』という事くらいは、ホアノスも知っている。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自作コミカライズ版35話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ