3話 100回目の転生
魔王城の最奥にある研究室で、
いかにもな邪悪系魔法使いの『ラムド』はニタニタと笑いながら、
魔法陣に、フラスコの中の血を垂らした。
「ひひひひひ、ついに完成、これぞ理論上最高の召喚術……さぁ、どれほど強大な魔物が召喚されるかのう。楽しみじゃ」
ラムドは、この世界で最高の召喚士。
種族はリッチ。
存在値は、驚愕の78(レベルは35くらいだが、最高位の召喚術が使えるので、存在値は高い)を超えている。
ラムドは、この世界だと、魔王に次ぐ最強クラスのモンスター。
とびぬけて頭が良かったこともあり、魔王城の宰相を任されている。
趣味はカスタム召喚魔法。
様々な方法で、強力なモンスターを召喚して使役することが唯一の楽しみという変態。
それがラムド。
ラムドの趣味は実益を兼ねていて、脳筋バカの魔王がこの世界の半分を支配できるほどの軍勢を持つことができたのは、ほとんどラムドのおかげと言っていい。
彼ら魔物の王は、本当に、ただのクソバカ脳筋。
存在値90以上と、ハチャメチャに強いのだが、支配や統治に関する才能はゼロ。
魔法陣が輝いて、グゥっと部屋の圧力が変わる。
モクモクゥっと紫の煙が上がった。
すぐに、その煙は霧散していく。
魔法陣の上に立っていた男は、開口一番叫ぶ。
「もういい! 異世界転生、もう飽きた!」