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1話 ミルス王国のモナルッポ。


 1話 ミルス王国のモナルッポ。


 ミルス王国の王都にある王城は、外観はそこそこ立派だが、中身はスカスカのハリボテのような城だった。

 本当に何もないハリボテという訳ではないが、玉座も調度品も宝物殿の中身も、外観の立派な感じには全くつりあっていない。

 『それ』は、ミルスの気質とも言えた。


 ミルス王国のような、『セファイルよりは流石に大きい程度』の小国の説明に時間を割く気はないので、『この国で最も重要な人物』に『少しだけ焦点をあてるだけ』にとどめて先に進もうと思う。



(……ランク5の量産……だと……)



 ミルス王国の第三王子『モナルッポ』は、何も身につけていない完全全裸のまま、ベッドの上で、セファイルに忍ばせている間者からの書簡に目を通しながら、


(……これがキッツ以外からの報告だったら、鼻で笑って一蹴しているところだな……)


 心の中でそうつぶやいた。


 そんな彼に、しなだりかかる女が一人。


「なに読んでるのぉ、王子ぃ」


 モナルッポが飼っている低位貴族の娘(側室ほどでもない『遊び相手』という形で、何人か飼っている。周囲の貴族は、モナルッポに娘を贈っても、貴族的な意味であまり旨味はないと理解している。だから、『モナルッポくらいしか相手してくれない』というレベルの貴族家の女しか飼えない)。

 この『オモチャ7号』――『カリネ』は、見た目はそこそこ派手で、かつ『モナルッポのバカさ加減』が『きちんと理解できる』ていどの知性はある、モナルッポ的には非常に都合がいい女。


「さっき、兄貴の忍が持ってきたセファイルの報告書。一応、俺も見ておけってさ」


 その忍『キッツ』は、モナルッポの本性を知っている数少ない者で、一応、表向きには、王族つきで、メインで『従っているとみせかけている』のは、父や兄二人だが、その忠誠心は、完全にモナルッポただ一人に向いている。

 ※ ちなみに、キッツとモナルッポのエピソードも結構なボリュームで、かつ、まあまあ面白いのだが、話が進まないので、オールスルーだドン!


「……なんか、セファイルで革新的な技術が見つかったとか何とか……」


「革新的な技術って?」


「俺に聞くな。よくわからん。なんか、セファイルの企業の一つが、ランク5の魔カードを量産できるようになったとか、どうとか」


「ランク5?! それもセファイルが?!」


「うるさ……なんだよ、どうかしたのか?」


「いやいや、王子! 魔カードってランク2で高級品なんですよ?!」


 これまでは、量産販売できるものの中で最高品質は『ランク2』だった。

 特別な素材や技術を使うことで、最高『ランク9』という魔カードを創ることもできたが、それは、あくまでも、特別な資質を持つ破格の超天才が、異次元の技術と膨大な魔力をぶちこんだ際の話。

 『ピカソの最高傑作(ランク9)』と『最高級和紙(ランク2)』の差と言えば、少しはご理解いただけるだろうか。


 ランク5とは、その間にあるクオリティ。

 そんなものを量産できるようになったとは、いったい――



「へぇ。で?」


「で、って……ランク1の魔カードと、ランク2の魔カードって、性能が段違いなんです! となれば、ランク2とランク5の性能の違いも当然、とんでもなく大きい!」


「……だから?」


(この男、本当にバカね……本当に冒険者試験受かっているの?)


 呆れて溜息をつくカリネ。

 そんなカリネの表情を見て、バレないよう、密かにほくそえむモナルッポ。


 ちなみに、モナルッポの、『表向き』の存在値は30ちょっと。

 王族としては低い方だが、冒険者試験には、『試験内容が簡単な年で、かつ運が良ければ、ギリギリ受からなくもない』というレベルではある。





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