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39話 ジャミの記録。


 39話 ジャミの記録。


 最優先すべきは『ゼノリカ』という組織。

 とはいえ、ゼノリカという『箱』を守ろうとしているのではない。

 最も重要な事は『全てを包み込む光で在り続ける』ということ。

 偉大なる英雄が築いてくれた全てを、誤りなくキチンと、後世へと繋いでいくこと。


 そのために必要な事はすべてやる。

 それだけの話。


 言葉で言うのは簡単だが、実行するのは難しい理想。

 ここまで完璧に『その理想』が実現されているのは、『努力した者が報われるシステム』がきちんと構築されている、というのが大きな要因である。

 ゼノリカでは、余計なだけの『黒い思考』に支配されることなく、いつまでも、高潔でい続ける事が許されるシステムが組まれている。

 そのシステム構築に費やされた時間と労力は膨大だが、

 おかげで、ゼノリカはほとんど完璧ともいっていい美しさを手に入れた。



 高潔な意志と、家族に対する愛情と敬意。

 バロールは、カティに対して色々言ってはいるが、彼女の事を心底から尊敬している。

 そして、カティもそれは分かっている。

 そうでなければ、プライドの高いカティが、脆弱だのなんだの言われてヘラヘラ笑ってすませるはずがない。


 もし、どっかの名前も知らないクズに罵られようものなら、仮にその悪口が『バロールから言われたものと全く同じ内容』であったとしても、カティは、容赦なくキレて、そのクズを灰にするだろう。


 ゼノリカに属する者たちも『所詮は一個の生命』でしかないので、もちろん『高潔なだけ』ではなく、『言い過ぎ』たり、それに対してキレる事もあるし、純粋に配慮が足りずに誤解を生んでしまうことなども多々あるが、根柢の部分での信頼関係があるため、いつだって、『本当の最悪』には至らない。



 ――ワイワイと、休息がてら、親交を深めている九華の面々。

 と、そこで、


 バーンッッ

 と、扉が開く音がして、

 『バロールが使っていた扉』の隣にある扉から、汗だくのイケメンが出てきた。


「お、やっと出てきたようだねぇ」


「ほんと、随分と長かったわね」


 サトロワスとテリーヌの言葉を聞き流しながら、

 そのイケメンは自分の記録を確認する。


「……ちっ」


 記録が不満だったのか、強めに舌打ちをする、その若いイケメンは、

 ゼノリカの天上、九華十傑の第一席『ジャミ・ラストローズ・B・アトラー』。

 とてつもないスーパーエリート集団である九華の中でも、ブッチ切りの才覚を有する超天才。


「どうだったんだ、ジャミ」


 言いながら、バロールが、後ろからモニターを覗きこむ。

 そこに表示されていた数字は、


「……は? ……1090時間?」


「え?! うそぉ!」


 カティも、バロールの横から覗きこむ。


 そこには、確かに、彼らとはケタの違う数字が表示されていた。


「うーわ……マジじゃん……引くわぁ……」


 ドン引きしているカティを横目に、

 バロールが、ジャミの肩を叩きながら、


「おい、ジャミ。なんだ、その不服そうなツラは。あてつけか? 九華最低最弱の名をほしいままにしている私に対するあてつけか?」


「ああ、すまない。そういうつもりはいっさいない。ただ、先生……パメラノから、事前に、『この上なく尊き神』の『記録』を聞いていたので……自分の矮小さにイラっときただけで……」


「神の記録? 神帝陛下も、これを利用したということか?」


「ああ、どうやら、そうらしい。……それも、時間圧縮の倍率を10倍以上に引き上げた『遥かに難易度の高いバージョン』で臨まれたらしい」


 時間圧縮は、倍率を上げれば上げるほど、訓練のしんどさが跳ねあがる。

 そんな事は、ここにいる全員が知っている(訓練施設の概要について、パメラノから聞かされているため)。



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自作コミカライズ版35話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
[気になる点] カティ、いくらプライドが高いからってただ他人から悪口を吐かれただけで殺すって理不尽過ぎません? 言論の自由はないんですか?まあこの場合は侮辱罪になるケースもあるけど それと、ゼノリカは…
2020/08/25 08:19 究極超紅鮭
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