表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
489/5864

36話 レミングウェイ・カティさん。


 36話 レミングウェイ・カティさん。


 バロールにつっこまれると、カティは顔を真っ赤にして、


「うるさい! あくまでも『そうなりたい』という意味だ! そして、すでに『ちょっとなりかけている』と言えなくもないんじゃないかと、そう思わなくもない今日このごろというだけのこと!」



「わ、私は……こんなのに負けたのか……」


 うなだれるバロールに、カティは蹴りをいれながら、


「どういう意味だ!」


 怒鳴ってはいるものの、その顔は優越感で満ちていた。

 相性が悪いせいで、まともに闘った場合、カティでは、バロールにはほぼ確実に勝てない。

 カティとバロールは、実際に、今まで、何度か模擬戦闘をやった事があるが、カティは余裕で全敗している――が、しかし、相性がいいパメラノが相手だと、まあまあの確率で勝てるので、カティが特別弱いというワケではない。

 逆に、バロールは、苦手なパメラノが相手だと、かなりの苦戦を強いられる。

 つまり、総合的にみると『どっこいどっこい』という話。



 ――と、そこで、テリーヌが、


「ところで、終理殿下に押しつけられた仕事の方は、どうなったの? まさか、皆に置いていかれるのがイヤだからって、ほっぽりだしてきたワケじゃないでしょうね」


「貴様は、私をなんだと思っているんだ。ガキ扱いするのもいい加減にしろ」


 そこで、サトロワスが、


「で? 実際のところ、進捗状況はどんな感じなのかな? もちろん『ほっぽりだしてきた』だなんて思っていないけど、どんな感じに進行しているのかは聞いておきたいねぇ」


「タネはすべて蒔き終わった。あとは、天下の連中が刈り取っていくのを待つだけだ。ラムドがいい仕事をしてくれたから、予定よりもかなりの巻きで事が進んでいる」


 テリーヌが、


「ラムド……確か、あんたが作戦の主軸にしようとしていた駒の名前だっけ?」


「ああ。あの世界ではトップクラスの存在値を持つ召喚士ラムド・セノワール。偉大なる神がお選びになられた道具だけあって、ラムドは、おそろしく使えるコマだった。おかげで、いくつかの工程をすっ飛ばして、こちらに早期合流する事ができた」


 と、そこで、カティが、


「偉大なる神……ねぇ」


 ボソっとそうつぶやいた。


 このカティと、現在『別の訓練施設』で汗を流している『第七席のディマイズ・マリス』は、センエースの声を賜っていないため、まだ神の存在を明確には信じられていない。


 あの呼び出しがあった日以降、九華のメンバー全員から幾度となく『神がいかに神々しかったか』をコンコンと聞かされたが、『直接、センエースを感じていないカティ』からすれば『メンバーから神についての話を聞かされること』は、『教会でのくどい布教』や『全世界史の授業中にムリヤリ聖典を読まされる』のとほとんど変わらなかった。



 そんな、いまだ神に対して懐疑的なカティをみて、バロールが、


「ふっ……哀れだな」


 ボソっとそう言うと、カティが、イラっとした顔つきになって、


「その顔、すっげぇムカつくんだけど! なにか言いたいことでも?!」


「言いたいこと? ……ぁあ、そうだな、なくもない。正式に言うと、お前のことを、うらやましくも思う」


「……はぁ?!」


「神を知らぬがゆえに、お前は、そうして、酷くノンキなままでいられる。ノホホンと気楽でいられて、いやぁ、ほんと羨ましいですよ、カティさん」


「さん付けで呼ぶな! そこはかとなくバカにされている気がする! というか、よく聞けば、セリフの全てを賭して、完全にバカにしてきているじゃないか!」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自作コミカライズ版35話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ