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33話 原初の世界に手を伸ばすゼノリカ。


 33話 原初の世界に手を伸ばすゼノリカ。


 改めてゼノリカの巨大さを思い知ったゼン。

 それゆえに浮かんだ疑問を、ゼンは口にする。


「それだけ巨大な支配力を持つのに、なぜ、この世界では裏しか支配していないんだ?」


 問いかけると、その『誰か』は、


「ここが特別な世界だからだ」


「……特別な世界……ねぇ」


「この世界は、とにかく異質。――厳格な序列がある『世界の枠組み』から外れた『番外の世界』。この『特別な世界』を支配することで、ゼノリカは完全となる」


「異質……番外……よくわからんけど、ここは、他の世界と何か違うの?」


「ここは、原初の世界。特別なのは間違いないが、いまのところ、何がどう特別なのか、誰も知らない世界」


「なんじゃそりゃ……なんもわからんのに、ここを支配したら完全になる? なに言ってんだ、お前」


「この世界が発見されたのは、つい最近。それまでは、『原初の世界』というのは、『くだらない伝説』でしかなく、実在するなど誰も想っていなかった」


「……ほう」


「最初に発見された時だって、誰も、ここが原初の世界だなどとは思っていなかった。しかし、調査を進めた結果、この世界は間違いなく原初の世界であると分かった」


 エグゾギアを纏ったその『誰か』は、原初の世界について、ゼンに、サクっと説明した。


 ――原初の世界。


 それは、『神々』の手が僅かも加わっていない謎の世界。

 『最果てに至った神』ですら干渉できない、異次元領域。

 ダレによって創造され、何のために存在するのか誰も知らない、最古の世界。


(神様ですら干渉できない? 俺が選ばれたのは、もしかして、そういう理由から?)


 ゼンが、頭の中で、情報を処理していると、


「原初の世界を調査する中で、ゼノリカは、この世界から、いくつか、奇妙な不気味さを感じとった。たんなる憶測や疑心暗鬼ではなく、物的・状況的な証拠もある。常軌を逸した領域外の配列、神を冒涜する乖離性の因果」


(なるほど、わからん)


「だからこそ、まずは裏に潜んだ。ゼノリカは、火に飛び入る虫ではない」


(うーむ……)


 ミクロを含めた具体的な理解には至らなかったものの、

 おぼろげな全体図を頭の中に描くことができたゼンは、


(最近発見されたばかりの、それまでは伝説でしかなかった未開の地……で、調査してみれば、ヤバそうな案件がゴロゴロしていた、と。……なるほど。なら、まあ、『いったん裏に潜みたがる』という『その警戒心』は、わからないでもない……)


「現在、ゼノリカは、この世界の『深部』を探ろうと、表を盾にしつつ、裏から手を尽くしている。そのための人材は、いくつあっても過剰にはならない」


「……今回の冒険者試験に、『アビス(ゼノリカの一員)』がもぐりこんでいたのも、その一環ってこと?」


「そうだ。目的のためなら、ゼノリカは手段を選ばない。ゼノリカは必要と判断すれば何でもする。――たとえば、ゼノリカは、『魔力の高い者を拷問し、絶望させることで、高純度の魔石を捻出できる』という特殊な技法を有しているのだが、ゼノリカは、その技術を、いっさいの躊躇なく、最大限活用している。それによって、ゼノリカは無限に近いエネルギー源を得た」


「最低のモ○スターズインクだな」


 ※ ちなみに、そんな技法はない。

   言うまでもないが、仮にあったとしてもゼノリカが、そんなものを使う訳がない。


「――『ゼノリカが潤うために必要』であるならば、『ゼノリカに属する者』は、本当に、『なんでも』する。その覚悟の質と量は、他の追随を許さない。必要とあらば、老人だろうと子供だろうと関係なく奴隷化し使い潰す。赤子の拷問・解体であっても、必要であれば、心の底から喜んで実行する」


 ――それが超魔王軍ゼノリカ。

 ――全てを包み込む黒き後光。

 ――正当なる深き闇の支配者。


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